第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
いつも通り3人でのお昼の時間。
「あー俺今日補習だわ」
『えーまた圭介くんいないの?』
「コイツ馬鹿だからしょーがねえよ」
デリカシーの欠片も無いカズくんの発言。
「なに、一緒に帰りてぇの?」
意地悪な顔をして聞く圭介くんの瞳が私を見つめる。
『そりゃ…そうだよ。
圭介くんは一緒に帰りたくない?』
あとどれくらいこうやって一緒にいられるか分からないじゃない。少なくとも学生生活には限りがある。毎日のように一緒に過ごせるのはきっとあと少し。
「そんなわけねぇだろ、帰りてぇよ」
『じゃあ…今日は待ってる!』
「え、そんなすぐ終わんねぇよ?」
『いいっ!今日は待ってる…ダメ?』
「お前がいいなら俺は全然。
テキトーにどっかで待ってて。」
なんだか今日は一緒にいたくて。
圭介くんの補習が終わるまで待つことにした。
「…は?おい嘘だろ?待つのかよ!」
お箸を置いて私を見るカズくん。
「嫌ならお前帰れよ」
ご飯を食べながら見向きもせずに言う圭介くん。
「まじで待つの?」
『だって…昨日3人で一緒に帰れたのやっぱり嬉しくて。今日もって思ったんだけど…カズくんやだ?帰っちゃう?』
やっぱり私は3人でいるときが1番楽しいから。
「おいおい…んな顔すんなよずりぃな。
待つ待つ。待つからその顔やめろや。」
一緒に待つと言ってくれたカズくんはやっぱり優しい。廊下で他クラスの女の子に向けられた言葉は棘があって怖かったけど、今隣にいるカズくんは嫌々言っても付き合ってくれる優しいカズくんだ。
「んじゃ放課後な」
そろそろなるチャイムに私たちは席を立って圭介くんのクラスをでた。
『カズくんほんとに待ってくれるの?』
「だってお前3人がいいんだろ?どっちにしろ俺いなきゃ意味無いんじゃねえの?それとも俺だけ帰れって?」
『そんなわけないじゃん!
3人でいたい。カズくんもいなきゃ意味ないよ!』
「だから俺も待つって」
『ありがとうカズくん』
「いーって」