第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
いつもアイツらのクラスが早く終わることの方が多い。だいたいが俺のクラスに迎えに来て、一虎は毎回違う女と帰ってて…あーでもここ何日かはそんなこともねぇな。とばっかいるし一昨日も泊まってたらしいし。
でも今日は俺の方が早く終わったのか、なかなか来ないを迎えに行って教室の扉をガラッと開けた。
「は…?」
2人以外誰もいない教室。
一虎に抱きしめられている。
『…っ圭介くん?』
「何してんのお前ら…」
「別に何も?こいつが体調わりぃっていうから支えてただけ。な?。」
パッと離れていつも通りな態度の一虎と、バツの悪そうな。たしかに昔から貧血起こしたりしてたけど…。
『あ…っうん。そうなの。
昨日あんまり眠れなくて…目眩が、ね。
ありがとうカズくん。』
「大丈夫なのか?」
『うん…もう平気だよ!
帰ろう圭介くん!』
暗かった表情を無理やり明るくしたような笑顔で俺の手を取る。
「あぁ。またな一虎。」
「じゃーなー」
しばらく歩いているけどなんとなく会話が弾まない。いつもはこんなじゃない。やっぱ一虎となんかあったんかな。最近一緒いる時間が増えてるしケンカでもしたか?
「なあ」
『なに?』
「一虎となんかあったか?」
『え…っど、どうして?』
「なんとなく?勘。
お前昨日からなんか変だし」
『そ…うかな。』
俺の質問に泳ぐ目が動揺を確かなものだと伝える。
「お前が話したくないなら話さなくていいけどよ。」
無理に聞いたって意味ねぇからな。
『…っ』
「苦しいなら話して欲しい」
『…え?』
「お前が今更俺に隠し事できるとも思えねぇしな。無理に話せとは言わねぇから何かあったら俺がいるくらいに思っとけ。」
『圭介くん…』
お前が俺に隠し事なんてできねぇだろ。
「…っは?なんで泣きそうな顔してんだよ!
おいおい…あーもうほら来いよ。」
腕を広げるとすっぽり収まって俺のシャツを掴みながら静かに涙を流し始める。昔から泣き虫でしょうがねえ奴。そばにいてやんねえとっていつも思わされる。いや…俺がこいつのそばに居たいだけか。