第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
学校について一限が始まってもカズくんは来なかった。きっと寝てるんだろうなあ。このままじゃ進級厳しいと思うけどなあ。
お昼にやっと登校してきたカズくん。
「おはよ」
『もうお昼だよカズくん』
「はやく場地んとこ行って飯食おうぜ」
私の手を引いて圭介くんの席へと、まるで自分のクラスかのように入っていく。
「お前また昼登校か?」
「そーだよー」
「お前こそ進級できねぇだろ」
『私もそう思うよ〜』
「まじで?それやばくね」
『やばいと思うなら朝から来ないと』
「寝みぃんだよなあ…」
本当に朝が弱いカズくんにとって朝から登校はよっぽど辛いんだろう。昨日だって朝から一緒に来たはいいものの、ほとんど全部の授業寝てたもんなあ…。
『たまーになら起こしに行ってあげてもいいよ』
「まじ?」
『うんいいよ、ね?圭介くん』
「はっ?俺も?」
『だって圭介くんと毎朝一緒だもん。
だからカズくん起こすのも一緒。だめ?』
「べ…つにいいけどよ。」
『やったあ!じゃあカズくん頑張ろうね!』
「ふぁーい」
もぐもぐとお弁当を食べながら本当に学校へ来る気があるのだろうかと疑ってしまうけど一緒に卒業したいもんね。
「お、いた羽宮」
教室のドアからひょこっと顔を覗かしたのは私とカズくんの担任の先生。どうやらカズくんを探していたみたい。
「なにー?」
「放課後時間あるか?」
「あーまあ」
「今後のこと話したいから職員室来てな」
「えーどうしてもっすか?」
「卒業したくないなら来なくてもいいけど」
「行く」
「よし」
ほら…ほら言わんこっちゃない…。
「え…俺マジでやばいんじゃね」
『相当…だね。』
「朝から来ねぇからだよ」
教室に戻ってからも落ち込んだままのカズくん。ここまでだとは思ってなかったんだろうな…。どうにかして一緒に卒業できますように。