第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
「、これも食ってよ」
口にプリッツをくわえて彼女を見つめる。
いわゆるポッキーゲームってやつ。
『ポッキーゲーム?
しないよ、それプリッツだし。』
「なあ食ってよ」
『だからヤダってば。』
「なに、できねーの?照れてんの?」
『ちが…っもう!やるよ!』
ちょっと煽ればすぐに乗ってくる。
子供っぽくてからかいがいがある。
ベッドに肘を着いてくわえたプリッツをに向ける。寝転がったまたの彼女がゆっくりと近づいてきてカプリ、と先端を口にくわえた。半分まで来たところで進んでこなくなった。
『…っうわ!』
来ないなら俺から行ってやろうと一気に食べ進めるとバッと顔をそらされた。
「んだよ、あと少しだったろ?」
『ばか!キ…キスしちゃうとこだったんだよ!?』
「何そんな照れてんだ。小学生かよっはは」
ぷいっとそっぽを向いて頬を膨らます。
本気で怒ってない合図。でも少し拗ねてる。
「なあ、俺の相手する気になった?」
『だからそれは…っ』
「俺ほんとに刺されちまうかも」
『……それは…やだ。』
昔俺が場地を刺してしまったことがある。場地が目を覚ますまでコイツは壊れるんじゃないかってくらいに泣いた。だけど俺を責めることはしなかった。圭介くんが許すなら私に怒る権利はないからって。カズくん責任取って死ぬとか言い出しそうで怖いから見張るんだって言ってたっけ。場地が目を覚ましたときは2人ともいなくならなくて良かったってわんわん泣いてた。
嫌だと俯く彼女はきっと昔を思い出しているんだと思う。
「相手してくれる?」
『…っいちご大福食べたら考える…。』
「ん、ほらよ」
イチゴ大福を手渡すと目を輝かせて食べ始めた。
「うまいか?」
『うん美味しい!何個でも食べられるっ』
「俺のもやるよ」
『えっいいの!?』
「俺別にそこまで好きじゃねぇし」
『えー!やったぁ!
じゃあこっちは明日たべよっと』
幸せそうに頬張る。
こんなの何個でも与えたくなるだろ。