第9章 歪想 (羽宮一虎 / 場地圭介)
「だってコイツがしつけぇから!!」
『カズくん謝って!
女の子にそんなこと言うなんて最低だよ!』
きっと朝早く起きてメイクして髪を巻いて今日はカズくんと過ごすからってこの子はオシャレしたんじゃないの?
「ッチ、悪かったよ。」
「羽宮先輩…わたしほんとに…」
「悪ぃけどもう俺に話しかけないで。
行くぞ。」
『え、ちょっと待ってあの子は?』
「俺はクレープ食いてぇの!」
『…分かった分かった!』
こういうことが続くと周りの視線が怖いよ。
現にあの子だって凄い目で見てるじゃない。
取り巻きの子達だってなんかヒソヒソして…
ううん、気にしないようにしよ。もし何かされたらカズくんに文句いってやるんだから!
「〜」
『なあに』
「まじで俺の相手してよ」
『だからそれは無理だってば』
クレープを食べながら2人並んで歩く。
昨日からこの話題ばっかり。
「が相手してくれんなら女遊び辞めるってば。なあダメ?俺刺されちゃうよ?いいわけ?」
『刺されるのは困る。いなくなったら寂しい。』
「だろ?」
『でもそれとこれは話が…っん!』
「クリーム付いてた」
『…っ言ってくれればいいでしょ!』
急に私の顔を覗き込んだと思えば近づいてきたカズくんの顔が私の唇の横のクリームをペロリと舐めとった。カズくんにとってはなんでもないかもしれないけど、私はファーストキスだってまだなのに…っ!
「なに、照れてんのか?」
『ちが…っカズくんのばか!』
「ばかばかって場地よりかマシだろ」
こんなの照れるでしょ…。
カズくん顔だけはいいんだから。
「あ、そういや家にお前が好きなやつあんぞ」
『…え!いちご大福!?』
「それそれ、昨日かあちゃんが買ってきた
と食えってさあ。来る?」
『うん行く!やったあ!!』
私はいちご大福に目がない。相手が相当悪い人とかじゃなきゃホイホイ着いてく、と思う。モチモチの大福の中にイチゴを入れよう!って思った人誰?天才?