第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
『…三ツ谷くん』
「ん?」
『大好き。』
素肌で抱き合いながら俺の目を見て言葉を紡ぐ彼女。
「俺も大好き。すっげぇ好き。」
抱き合ってキスをして愛を伝えて
こんなに幸せなことってあるのだろうか。
こんなに愛おしいと思える存在が
他にあるのだろうか。
俺たちは眠りにつくまで何度もキスをして
何度も好きと伝え合った。
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side夢主
月曜日の朝。
早くに私の家をでた三ツ谷くんは1度自分の家に帰って制服に着替え、再び私の家まで迎えに来てくれた。
「よっ、さっきぶりだな」
『わざわざ来てくれなくても良かったのに…』
「俺が一緒にいてぇの。ダメか?」
『嬉しいです…』
「んなら素直に喜べよ、な?」
『はいっ』
くしゃっと私の頭を撫でた三ツ谷くん。
怖いこともあったけど、この人といられるなら私は幸せだと思える。三ツ谷くんが先に卒業してしまうなんて悲しいけれど、離れてもそばに居させてほしいと、そう思える。
「はよ、」
『柴くんおはよ。
昨日は本当にありがと。』
教室につくなり声をかけてくれた柴くん。
あのとき柴くんが来てくれなかったらと思うと怖くて震えが止まらない。彼には感謝してもしきれないほどだ。
「そんなんいいよ、無事でよかった。」
『特攻服もありがとう。
洗ったから今度返しに行くね。』
「洗わなくてよかったのに。でもさんきゅ」
『にしてもタカちゃん単車取りこねぇんだよな』
『あー…』
それはきっと私の家にいたからだろうなぁ。
今日の朝までずっと一緒にいたんだもの。
「もしかして2人一緒にいたの?」
『ん、そ…うだね。』
人に聞かれるとなんだか恥ずかしい。
あんなことやこんなことをしたんだもの。
そこまでは聞かれてないけど…けどっ!
「付き合ってるんだもんな…?
タカちゃんから聞いたよ。」
『え、あ…うん!
三ツ谷くんの彼女になれました』
「ぁああー…そっかぁ〜」
『うん…ってなになに??』
「俺諦めないから」
『…と言いますと?』
「のこと好きなの諦めないから」
真っ直ぐに見つめられて逸らせない。
吸い込まれそうな碧。