第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
「…っあぁ、ちがう。
困らせたいわけじゃないから。
2人のこと邪魔するつもりもねぇし…」
『うん…?』
「ただ。」
『ただ?』
「ただ好きでいさせて欲しい。
そんなすぐ諦めようとか思えそうにねぇんだ」
『そんなの…ダメって言えないよ』
困ったように、でもどこか晴れたような笑顔で伝えてくれる柴くん。私が彼の気持ちに応えられることはきっとないと思う。だけど彼も大切な人だから。これからも仲良くしていきたい。
「ありがと。
タカちゃんに泣かされたら俺んとこ来いよ?」
『あはは、うんっ』
「ん、待ってるわ」
こうやって最後は笑って会話を終えられるような冗談を言ってくれる柴くんに救われる。この前は助けてもらったのだから、いつかは私も彼を救える日が来ればいいな。
「おい八戒!」
「っうわ!タカちゃん!?
何でいるんだよ!」
後ろのドアからひょっこり顔を覗かす三ツ谷くん
「俺ら朝のHR無しで教室に荷物置いたら体育館集合なんだよ」
「へ〜」
「俺の彼女にちょっかいだすなよ?」
「はいはい、それはどーかな?」
「おい八戒!あとで覚えとけ!」
「わーかったよ、邪魔はしないって!
ほら早く体育館行きなよ!」
「まじで手出だすなよ?」
「わーかったって!ほら早く行きな!」
「あとで確認しに来るからな」
「もー、はいはいっ」
こんな2人のやりとりも心が和む。
これからも2人が一緒にいられますように。
そんな2人のそばに私もいられますように。
…end.