第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
ベタベタと汗のついた身体が気持ち悪い。
あの人たちに触られた所が気持ち悪い。
早く洗って流したい。
身体がベタベタとして気持ち悪いから、と帰ってすぐお風呂に入った。その後入れ替えで三ツ谷くんも入って、私は彼が出てくるまでの間に髪を乾かした。1人になると思い出してしまう。すごく怖かった…知らない男の人がたくさんいて、体に力が入らなくて…っ
コンコン 「入っていいか?」
『どーぞっ』
戻ってきた三ツ谷くんを見て心が落ち着いていく。今日はくっついて寝たいな。そんなこと言ったら引かれるだろうか。だけどひとりで寝るのは怖い…きっと眠れない。
「ぅし、今日はもう寝るか?」
たしかに今日はとても疲れた。
もう寝よう…でも三ツ谷がそばにいて欲しい。
『あ、の…三ツ谷くん』
引かれたくない。
「ん?」
『その…あの。』
嫌われたくない。
「なんだよ?」
『く…っついて寝たい…です。』
だけど1人では思い出してしまうから。
「…」
あれ…三ツ谷くんがフリーズしてしまった。
そんなに嫌だったのかな。
『あ、嫌だったら全然…っ』
「や、ちげぇ…嫌とかじゃなくて。
ビックリしただけ。すげぇ嬉しいよ。」
『ほんと…ですか?』
「好きな女と一緒に寝れるんだろ?
嬉しいに決まってるよ」
『よ、かった…あの、じゃあココにっ』
さっとベッドにはいり、隣にスペースをあける。布団をペラっとめくってトントン、と叩くと三ツ谷くんもベッドに入ってくれた。
「…、思い出させるようなこと聞くけどよ。攫われたときどこいたんだ?」
『えっと、ドラッグストアにいました』
「…絆創膏やらなんやら入ってる袋を八戒から預かったんだけど、もしかしてソレ買いに行ってた?」
『え、柴くんから?』
「あぁ、なんかお前がその袋ずっと握りしめてたから大事なもんかと思ったって。」
『電話受けてから三ツ谷くん飛び出して行ったし…柴くんの声も慌ててたし。それに2人は暴走族だから喧嘩とかかなって思って…救急箱の中あんま入ってなかったし。』
「うん。」
『もし三ツ谷くんが怪我して帰ってきたら
手当してあげたいじゃないですか。』
「…。」
『結果的に迷惑かけちゃいましたけど…』