第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
あぁクソ…身体がだりぃ。
熱くて疼くような感覚が止まらない。
あの女に反応なんかしたくなくてずっと気を張っていたせいで、どっと疲れた。よろよろと歩く俺を受け止めてくれた八戒にすら反応してしまうほどには限界だ。
「タカちゃん…」
「んぁ…?」
「俺…俺、ごめん。」
「なにがだよ…キスしてねぇんだろ?」
「なんだ気づいてたの…?」
「あ?気づいてたっていうかお前を信じた。」
「と付き合った…よね。」
「あぁ、昨日な。」
「そっか…。素直に応援できないし諦めきれないけど…のことちゃんと守ってね。」
「別に諦めろなんて言わねえよ。
逆の立場なら絶対諦めねぇだろうしな。
は俺の命にかえてでも守るよ。」
「うん、頼んだよ」
「今日は本当に助かった。
を見つけてくれてありがとな。」
やっぱお前はこの先も俺の相棒だ。
弐番隊の副隊長はお前しかいねぇよ。
『…っはあ、ぅう…っ』
「?…身体あちぃな。
お前も薬盛られてんのか?」
『ん…ひゃぁあっ』
よろけた彼女を支えようと咄嗟に手を伸ばした。触れたところから弾かれるようにピクっと身体を反らせて苦しそうに熱い呼吸を繰り返している。
崩壊しそうな理性を何とか保つ。
このままじゃ単車には乗れねぇ。
「わりぃ八戒…俺のインパルスお前が乗って帰ってくれねえか。今度取り行くから…今の俺が乗ったら多分事故る。」
「わかったよ、あっ!ちょっと待ってて」
なにか思いついたようにどこかへ電話をかける八戒。
「あと少し待っててな。
もうすぐ来てくれるから」
『ん…っ』
「もうすぐ来るって…誰がだよ」
「あ、きたきた!こっち!」
黒塗りの高級車が1台こちらへ向かってきて
俺たちの目の前でとまる。
「お待たせ致しました。」
「この人俺ん家の家政婦さんね。
タカちゃんは何回か会ったことあるでしょ?」
「あ、あぁ」
「友達が体調悪いから家まで送ってあげて。
俺はこのバイク乗って帰るから大丈夫だよ。」
「承知致しました。」
あれよあれよという間に後部座席にと2人で乗せられ、気づけば彼女の家まで帰ってきていた。