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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)


「…大丈夫?
遅くなってごめん…怖かったよな。」

『う…っうぁ、しばくん…っ
怖かったよ…来てくれてあり、がと…っ』

「うん、と…りあえず服を…っ」

乱れている私の服を見て着ていた真っ黒な特攻服を脱いでパサリと肩にかけてくれる柴くん。くるん、と後ろをむいて見ないようにしてくれる優しさがあたたかい。

『…三ツ谷くんはっ』

「タカちゃんなら大丈夫だと思うけど…
とりあえず連絡してみるよ」

私の目の前で三ツ谷くんに電話をする柴くん。プルルルル、と無機質な機械音が繰り返されるだけで出る気配はない。

『…っ、みつやく…ん』

「どうしたんだろ…」

『あの女の人が…三ツ谷くんに会いに行くって。』

「…は?そう言ってた?」

『うん。邪魔するなって…ひぐっ』

「…タカちゃんのとこ行こう。
もしかしたらショックな光景見るかもだけど
それでもいいならも連れてく。」

『ん、いい…連れてって柴くん。』

柴くんにかしてもらった特攻服のボタンを上まで閉めてから立ち上がるとフラついた私の身体はソファへと引き戻された。…薬が回ってるんだ。息もしずらい…な。

「…?どうした?
…え、身体熱いよ。薬…盛られた?」

『…っん、はあっ』

「…嫌かもしんないけど俺の背中乗って。
その方が早いと思うから…な?」

私の前に背中を向けてしゃがむ柴くん。
お言葉に甘えて背中におぶられると、倉庫を出るなり迷うことなく歩き始めた。

『場所…知ってるの?』

「あぁ、さっきアイツらが話してんの聞こえた
こっから近い倉庫にアイツらのアジトがあるぽい。」

『柴くん…』

「ん?」

『助けに来てくれてありがと。
私ちょっと諦めてた…もう無理だって。
柴くんが来てくれてすごく…安心した。』

「間に合ってよかった…最中だったら…
俺アイツら殺してた、かもしれない。」

『…柴くんが人殺しにならなくてよかったぁ』

ほんの数分後、倉庫の前で足を止めた柴くん。

「ここだ。…入るよ?」

『う、ん。』

「一応…声かける、ね。」

『ん、うん。』

「タカちゃん!!!」

「…八戒か!?は!」

「無事だよ!連れてきた!」

少し苦しそうな三ツ谷くんの声が倉庫に響く。
…もしかしたら、もしかしたら…っ。
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