第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
テーブルにトン、と置かれたコップ。
「どーぞ。お茶だけど」
「あぁ、サンキュ。」
正直さっき暴れたせいで喉が乾いていた。
有難くテーブルのコップを受け取って冷たい麦茶を喉に流し込む。スーっと喉を通っていく感覚。
「三ツ谷ってさぁ、あの子のどこが好きなの」
「そんなん聞いてどうすんだよ。」
「好きな人のことだもん知りたいの。」
こいつがどんなに好きという言葉を並べても驚く程に響かない。からの愛でなければ意味が無いのだと改めて気づく。
「…はすげぇ綺麗なんだ。
俺みたいな族が手ぇ出したらいけないくらいに。
けど好きって止めらんねぇんだな…気づいたら目で追ってた。俺だけのもんにしたくなってた。」
「…っそう、妬いちゃうなあ…。
ねぇ1回でいいからさぁ抱いてくれない?」
俺の隣に移動してきた彼女に顔をのぞき込まれて背筋がゾクリとする。抱く…?俺がじゃない女を…?考えただけで気持ちが悪い。
「俺はしか抱けねえ。悪ぃな。
そういうことがしてぇなら他当ってくれ」
距離を取ろうと立ち上がるとアルコールが回るみたいにぶわっと身体が熱くなった。なんだこれ…体の芯が疼くみてぇな…。
「あの子しか抱けない…?ホントかな?」
俺を追いかけるように近づいてきた手が太ももに触れた瞬間、触られたところがくすぐったくて熱い。飲み物になんか入れてやがったな…媚薬か…?
「っやめろ触んな!」
「ねぇ抱いてよ三ツ谷ぁ。シよ?」
「お前なんかじゃ反応しねぇよ」
「…どーかなぁ?」
トン、と胸を押されて呆気なく倒れた身体はソファに沈む。腰に跨った彼女が足の間にスっと指を添わせて特服越しに俺のソコに触れた。
「…っやめろ」
「早く大きくしてよ三ツ谷ぁ。
私もう待てない…ずっと触ってたら嫌でも反応するでしょ?」
「…っは、しねぇよ」
くすぐってぇけど今のとこ反応する感じはしない。それどころかじゃない女に触れられてることが気持ち悪いとすら感じる。
「女の私から誘ってんのよ恥かかせないで?
それとね、あの子ここには来ないよ。
今頃アイツらとシてんじゃないかしら?」
「は…?お前ふざけんなよ!!!」
どうりで時間ばっか食ってたわけだ…クソ!