第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
「あれぇ〜三ツ谷ぁ?」
「…あ?」
声をかけてきた女はまるで偶然会ったかのように話しかけてきた。白々しい演技しやがって。
「お前…はどこだ。」
「偶然だねぇ、デートしようよお〜」
「はどこだって聞いてんだよ!
アイツに手ェ出したら女だろうが容赦しねえぞ」
「…なぁんだバレてるんだぁ。
それよりさ、私三ツ谷が族入ってたなんて知らなかったなぁ。あの子邪魔だったからちょーっと痛い目見せてやろうと思って知り合いの暴走族に頼んだの。好きにしていーよって」
「は…?お前何言ってんだ?
俺が族に入ってることなんかどうでもいいだろ。隠してるわけでもねぇからバレたって構わねぇ。」
好きにして…いいってなんだ。
俺たちを呼び出した奴らと別にまだいるってことか?そいつらに攫われたのか…?が別の男に…っ考えただけで腸が煮えくり返りそうだ。
「あの子好きにしていーよって言ったら皆目の色変えて協力するって言ってくれたよ。あの子見た目だけは良いもんね?私は私で三ツ谷とくっつきたいからって言ったらびっくり、三ツ谷って族の世界で有名人だったのね。まさかの東卍だなんて。しかも隊長さん。うまいこと誘いに乗ってくれてありがとうね?」
「…ってめえの欲で俺の隊の奴ボコったのか?
てめえの…私情でを攫ったのか?
今すぐんとこ案内しろ…今すぐだ。」
「…それだけ三ツ谷のことが好きなの!
でも…わかったわよ。ついてきて。」
…案外あっさり引いてくれるんだな?
まあ男の俺と女のコイツじゃ力がちげぇ。
今逆らってもあっちに勝機はねえからな。
少し距離をあけて単車を押しながら歩く。
「…ここに連れてきてくれるから少し待ってて」
「ここに…か?」
連れてこられたのはさっきまでいた倉庫と同じくらいの大きさの倉庫。中はさっきより綺麗で冷蔵庫やソファなんかもある。アジト…か?
「そうココに。そんな警戒しないで。
私じゃ三ツ谷に勝てっこない。
もう何もしないから…座って待とう?」
「…あぁ。」
ソファに腰をおろした俺と少し離れたところにある椅子に座った彼女。会話もなければ物音もしない。
「ねぇ喉乾いてない?
冷蔵庫に飲み物あるけどなんかいる?」
「あー…そうだな。貰おうかな。」
「ちょっと待ってね」