第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
『…っみつ、やくん…っ』
「…」
ハムハムと優しく食べられるみたいなキス。
頭がふわふわしてくる。
息するタイミングわかんない…っ
『ん、くる…しいっ』
「…わりぃ、がっつきすぎたワ。」
『ちが、私が…下手なだけで…っ』
「上手かったらすげえ妬くんだけど?」
『…っも、さらっと…』
「」
『は、い…』
恥ずかしくて逸らした顔に三ツ谷くんの手が伸びてきて視線がぶつかる。
「すげぇ好きだよ」
『…もう、三ツ谷くんわざとだ…っ』
「ははっ顔真っ赤だぞ笑」
くしゃくしゃと私の頭を撫でて笑っている三ツ谷くん。この人が私の彼氏だなんて1日経っても信じられない。世界で一番幸せかも。
しばらくの間、2人ソファのうえで肩を寄せあって他愛のない話をした。そういうなんでもない時間がすごくすごく幸せで。温かくて。好きだなって思う。
「あっという間に夕方だな。飯どーする?」
『私作りますよ』
「いや、邪魔してるし俺が作るよ」
『じゃあ明日は三ツ谷くんがお願いします
今日は私が作りますから座っててください!』
「分かった、んじゃ甘えさせてもらうわ」
甘えさせてもらう、と言ったはずなのに調味料をだしたり食材を切ってくれたりと、なんやかんやお手伝いをしてくれる三ツ谷くん。
こんなのまるで…
「なんか同棲してるみてぇだな…?」
『…っ同じこと…思ってました。』
「ふは、まあいずれな」
『はい…っ』
〜♪〜♪
『…?三ツ谷くん携帯鳴ってます?』
「え?…ああほんとだ。」
『気にせず出てください』
「悪いな。あ?…八戒?」
『柴くん?』
「遊ぼーとかそんなとこだろ。
断ってくるわ、ちょっとまっててな」
通話ボタンを押すと同時、聞こえてきた柴くんの声はどこか焦っていた。
《タカちゃん!!?今どこ!!》
「あ?今は…《早く来て!!》」
「は?」
《やばいんだって!とにかく早く!》
「だから何が…」
《説明はあと!場所送るからすぐ来て!》
そう言って通話は一方的に切られてしまった。
「わりぃ…すぐ戻る…から」
『柴くん大丈夫かな…!?
早く行ってあげてください!!』
彼の焦った声が耳から離れない。