第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
『こ…怖かったです。』
「俺はこんなにくっつけてラッキーです」
『…わっ、ごめんなさいっ!』
約2時間ぴったりとくっついていた体が離れる。ラッキーだって言ってんのになんで離れちゃうかな。
「なあ、なんで離れんの?」
『さ、さっきは怖くて…
でも今はもう大丈夫なのでっ』
「違う違う、俺はとくっついてたいって言ってんの。離れてかれると寂しんだけど?」
染まっていく頬にそっと触れてみる。
『じゃあ、その…っ
くっついてもいいですか…?』
「おいで」
おずおずと距離を縮めてくるのがもどかしくて彼女の体をぐいっと抱き寄せた。戻ってきたぬくもりが愛おしい。
伸び掛けのサラサラした髪を撫でれば
『三ツ谷くんに撫でられるの好きです』
そう言ってふにゃりと笑ってくれた。
「幸せ。」
『私もです。』
「なあ、キスしたい」
『…っえと、』
「ダメか?」
もっと近づきたいもっと触れたい
『ダメじゃ、ないです。して…ください。』
潤んだ瞳が俺をみあげる。
そんな目で見られたら…
『…っン』
ほんの数秒触れるだけのキスをしようと思っていたのに、そんなのは全部吹っ飛んで随分と唇を重ねていたらしい。トントンと胸を叩かれて気づく。息が出来なかったのか短く肩で呼吸をする彼女。
「ごめん苦しかったよな…」
『初めてで…息の仕方とか分かんなくて。
恥ずかしいです…えへへ』
そういって本当に恥ずかしそうに微笑む姿を見て、またすぐに唇を重ねた。吸い込まれるように縮まる距離。
『ん…みつ…っ』
「ん、ん…」
『息…く、るし…い』
またしてもトントンと叩かれる
「わりぃ…」
唇を重ねる瞬間にきゅっと体に力をいれたり、強ばってしまうのも初々しくて可愛らしい。まあ俺もキスとか彼女とか初めてでわかんない事だらけだけど、年上だし余裕なふりとかしちゃうわけで…。つっても若干がっついてるから抑えられてはねえわな。
『三ツ谷くん…っ』
「ん?」
『も…う1回したいです…』
消え入りそうな声で紡がれた言葉は殺し文句。
「お前それは…ずるいだろ…」
『あ、いやごめんなさ…んんっ』
今度は食べるように彼女の柔らかい唇を自分の唇でハムハムとしてみる。正直理性保つのもギリ。