第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
《明日、お昼頃来てください!》
昨日の夜にから届いたメールを何度も読み返して、夢じゃないんだよなって何回も考えて。
泊まりに誘ってくれるってことはそういうことだよなって自分の都合のいいように解釈したいところだけど、「男泊める意味分かってねぇだろ」と聞いた時のきょとん顔からしたら分かってねぇんだろうな。
土日だしルナマナは母ちゃんに任せるか。
約束通り昼頃に、の家へ向かう。
インターホンを押すと聞こえてくる可愛い声。
ガチャリと開いた扉から覗く愛しい彼女。
「よっ」
『三ツ谷くんっ』
「はい、これお土産」
『え!気遣わなくていいですよっ』
「夜一緒に食べようぜ」
俺が手渡したのは近所でうまいって言われてる店のゼリー。ルナマナが目キラキラさせていつも食ってる。
『何しますか?映画みます?』
「おーありだな」
正直なんでもいい。一緒に居られるだけでいい。
が選んだのはホラー。
苦手そうなのに見るんだなーと思いつつ始まった映画を2人並んでソファに座りながら見る。
『…う!』
俺の隣に1人分距離をあけて座る彼女がクッションを抱いて顔を隠しながら画面を見ている。
「ホラー苦手なのか?」
『めちゃくちゃ苦手です…うぁああっ!』
「おいおい何でこれにしたんだよ…」
『だ、だって少し前に流行ってたじゃないですか…それで気になって。でも映画館で見るのは怖かったから…それに今なら三ツ谷くんいるし見れるかなって思…っきゃああ!』
「んじゃもっとこっち来いよ。
離れてる方が怖いだろうが。」
『い…いんですか?』
「いいに決まってんだろ。
距離空いてるほうが寂しいっつの。」
おいで、と腕を伸ばすと ピトっとくっつく彼女。少し震えてるのがなんだか小動物みたいで可愛いと思ってしまう。
『…うぁ!怖い…怖いっ!ひゃあ!』
腕をがっちり掴まれて、驚く度に抱きついてくるもんだから俺の理性がもたない。はしっかり見ているようだが俺は映画の内容なんて全くはいってこない。