第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
三ツ谷くん…今なんて…?
好きって言ったの?彼女に…なって?
「?」
だめ…視界が滲んでく。
心臓がきゅうってなる。
返事をする代わりに三ツ谷くんのシャツの袖をきゅっと掴んで真っ直ぐに目を見てみる。けどもうダメ溢れそう。
『…っう、みつ、やくん…っ』
「はは、泣くほど嬉しかったか?」
なんて笑いながら冗談を言う三ツ谷くん
『だっ、て絶対…絶対ないと思ってました…うぐっ、今日だって恋愛対象じゃないからって釘刺されると…うっ、おも…って。』
「おいおいそんなこと考えてたのか?
いや…そう思わせたのは俺だよな。ごめん。」
ごめん、と一言いって三ツ谷くんに抱き寄せられる私のからだ。逞しくて広い胸にトン、と体を預ければ優しい匂いが鼻を通る。
『わた、しも…っ』
「うん」
『私も三ツ谷くんが好き、です…』
だんだん小さくなる声に耳を傾けて静かに聞いてくれた三ツ谷くんが私を抱く腕に力をこめた。
「…めちゃくちゃ嬉しい。あぁ好き。」
『わた、しも…っ』
「私もなに?」
『…っ!』
「なんだよ言ってくんねえの?」
『す…す……きです。』
「聞こえねえ。もーいっかい」
付き合って僅か数秒で気づいたことがある。
三ツ谷くんはきっとSだ。意地悪だ。
『も、もう言いませんっ』
「付き合った記念なのになあ〜
あーからの好きが聞きてぇなあ?」
『…い、いじわる。』
「可愛くてついな?意地悪しちまうわ」
そんな言い方ずるいよ三ツ谷くん。
許しちゃうよ…もう。
『…三ツ谷くん』
「んー?」
『好きです。大好き。』
「…っはあ、俺も大好きだよ。」
私を抱きしめたままいた三ツ谷くんが顔を上げて額に触れるだけのキスを落とす。ほんの1秒くらいのことなのに、そこから全身に熱が回るみたいに体が熱い。
『…な、なっみつやく…んっ』
「はははっんだそれ笑
本当は口にしてぇけどまだ我慢するよ
今したらがショートしちまう」
本当は口に…って。
三ツ谷くんとキスするってこと!?
いや付き合ってるんだから普通か…。
いやでも…っ私の心臓もつかな。