第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)

『あの…み、つやくん』

「ん？」

『て…手が…っ』

学校から繋いだままの手を見つめて
みるみる頬を染めていく。

ずっと黙りこくってたのはこれのせいか。

「嫌か？」

少し俯いている彼女の顔を覗き込めば瞳を潤ませてふるふると首を振る。なあ、やっぱり期待してもいいかな。

「ならこのまま、な？」

『は、い…っ』

途中いくつか寄り道をして夕日が沈みだした。

彼女の家が近づくたびに早くなる鼓動。
言わないと…伝えないと。
誤解させたままじゃダメだ。

「…そこの公園よってもいいか？」

『はいっ』

もう夕方を過ぎて誰もいない公園。
ここなら落ち着いて話せるかな。

手を繋いだまま並んでベンチに腰をかける。

「…」

『は、はいっ』

「俺、に伝えたいことがある。
聞いてくれるか？」

『はい、もちろんです』

ひとつ、深く息を吸って言葉を紡ぐ

「体育祭、借り物競争ついてきてくれてありがとな。直前に八戒のジョーカーがあったから来てくれないかと思ったけど…一緒に来てくれてすげえ嬉しかった。ありがと。」

『いえっ、とんでもないです』

「それから、は勘違いしてると思うけど…俺は本当にお前が可愛くて、可愛くて仕方なくて…だからを選んだ。お前しかいなかった。」

『…っでもそれは』

「あれは…！あれは嘘だ。
昨日言ったことは嘘だよ。」

『え？』

「妹みたいだなんて思ってねえ。
ひとりの女の子として可愛いと思ってる。」

『…みつやく「」』

『…っはい』

「俺はが好きだよ。
俺の…彼女になってくれないか？」

『…！』

俺を見つめたまま放心した表情。
今にもこぼれおちそうな涙。
は今何を考えているだろうか。