第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
「ついてきてくれてサンキューな。
おかげで1位取れたわ」
『あ、いえ!1位取れて良かったです!』
お題も告げずについてきてくれた彼女に一言礼をすると、嬉しそうな表情をしてからすぐ悲しそうに眉が下がった。
「なんか勘違いしてねえ?」
妹みたいに可愛いって意味じゃねえよ。
お前が可愛くて仕方ねえんだ。
『え…?』
「今日一緒に帰れる?」
『きょ、うですか?』
こんなザワついたとこじゃなくて
静かなとこで2人きりでちゃんと伝えたい。
「あー、もしかして今日も部活か?」
『いえ、今日は部活ないです』
「そ、じゃあ俺と一緒に帰れるか?」
『はい、大丈夫です』
暗い表情のままの彼女。
誤解させたままは苦しい。
けど今じゃねえ。
「終わったら教室まで迎えいくから待ってて」
『分かりました』
「なんて顔してんだよ、俺と帰んのやだ?」
そんな顔されっと自信なくなるよ。
俺といたくないんじゃないかって。
『えっ?』
「俺と帰んの嫌だったか?」
『そんなことあるわけないです!』
慌てて否定をする彼女がかわいい。
すごく可愛い。抱きしめたい。
「ふはっ、それなら良かったよ」
『…はいっ』
ポン、と頭を撫でるとやっと笑顔を見せてくれた。
「んじゃ席戻るか」
『ですね』
と話しながら席に戻るとクラス席から俺に向かって一直線にクラスメイトがでてきた。
「ねえ三ツ谷ちょっといいかなあ?」
「ん?」
俺こいつ苦手なんだよなあ…。
なんかいつも甘い香水つけてて。
しかも今はと話してんのに。
「あ…っちで話したいんだけど。」
そう言って指さした先は校舎裏。
えー…
「ここじゃダメか?」
「ここはちょっとぉ…」
ここで話せないことってなんだよ…。