第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
《続きまして!
3年生男子による借り物競争です!》
グラウンドに響くアナウンス。
私は柴くんとクラス席に戻った。
さっきまでザワついていたクラスも3年生の競技開始を今か今かと待ちわびている。どの学年もこの競技は盛り上がるけど、やっぱり3年男子が1番盛り上がる。
それに今年は三ツ谷くんがでるから。
私だって楽しみにしていた。
《位置について よーい パンッ》
全員があっという間に机のあるポジションまで辿り着き、紙を選ぶ。3年生のジョーカーってなんだろ。
紙を開いた三ツ谷くんがこちらに走ってくる。
《さあ今年の3年男子ジョーカーを発表致します!》
さらに盛り上がる生徒席。
「きて!」
『えっ?』
「しかいねえの!
だから俺と一緒に来てくれ」
伸びてきた三ツ谷くんの腕が私の手を取る。お題もわからずに生徒席を抜けて三ツ谷くんと一緒に走り出す。
『み、三ツ谷くん!お題...は?』
気になって隣を走る三ツ谷くんに聞く
《今年の3年男子ジョーカーは…!
可愛くて仕方のない異性!!
さあ!これを引いたのは誰だーーー!!?》
「俺引いたのジョーカー」
『ジ、ジョーカー…って、え!えっ?』
「なんて顔してんだよ、ほら1位とるぞ!」
『は、はいっ』
アナウンスは確かに 可愛くて仕方のない異性 だと言っていた。そしてそれを引いたのは三ツ谷くん、その三ツ谷くんが選んだのが私…。どういうこと?浮かれちゃうよ...傷つきたくない。
…っあ、そうだ。
昨日の帰り際…妹みたいな存在だって言ってたじゃん。そういうことか。妹みたいで可愛いってことだ。なんだ…勘違いするとこだった。気づけてよかった。
《1位でゴールしたのは青ブロック三ツ谷くん!またしても連れ出されたのは我がバスケ部!さあ…気になるお題は…おっと!ジョーカーです!》
アナウンスによって再びザワつく生徒席。
「ついてきてくれてサンキューな。
おかげで1位取れたわ」
『あ、いえ!1位取れて良かったです!』
これで私も全部1位だったし嬉しいや。
…でもなんかちょっと苦しい。
「なんか勘違いしてねえ?」
『え…?』