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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)


「…あの…えっ、と。」

なにか言いたそうに目を泳がせる柴くん。
だけど今はそんなことより…

『えと…腕…を、』

「あ、ごっごめん!」

ずっと掴まれたままいた腕。
気づいてパッと離してくる。

2年女子の借り物競争が始まって私たちに集まっていた注目はグラウンド内にそれた。退場してグラウンドの端にある日陰に2人で並んで座る。

沈黙が気まずくて私から話しかけた。

『えと、仲良い女子が私だったからだよね?一瞬勘違いしそうになったんだけど柴くんて女の子苦手だもんね…っ』

きっとそう。

「…えっと。」

曖昧な返事。

『クラスの人の誤解は私が解いておくからっ』

好きな人、というお題を持って私の腕を引くもんだからクラス席はザワついた。もし誤解ならとかないと柴くんが可哀想だ。

「…っ」

『ん?』

「確かに仲良い女子はしかいないけど…そんな理由で連れ出したんじゃない。紙には好きな人って書いてあった。男か女かなんて指定はなかった。恋愛感情か友情かとかも。だからタカちゃんだって良かったんだ。」

『うん、えっと…』

つまり三ツ谷くんと私どっちでも良かったのかな?

「だけど 好きな人 って頭にすぐ思い浮かんだのは…だった。俺は…俺は、が好きです。」

『…え?』

なんて…?

「が好きなんだ。」

そんな風に思ってくれてたなんて…
嬉しい…けど私は三ツ谷くんが…。

『ありがとう。
でも...ごめ、んなさい。』

「…うん、分かってる。
が好きなのはタカちゃんだろ?」

『え…どうして、』

「が好きだから。
見てたから分かるよ…タカちゃんかっけえよな。」

あれ…なんか苦しいな。

『そっか…柴くんにバレてたかぁ。
恥ずかしいな…。三ツ谷くんかっこいいよね。
きっと私なんか相手にして貰えないけど…。』

「振られたら俺んとこ来いよ」

そう言って頭をポンと撫でてくれる。

『ふふ、優しいね柴くんは
そしたら慰めてもらおうかな』

「うん、待ってるわ」

ニカっと笑った柴くん。

『待ってるって…ひどいなあ笑』

「ははっ悪ぃ笑」

…気まずくならなくて良かった。
これからも仲良くして行きたいもの。
話せなくなったら悲しい。
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