第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
ピストルの音と同時に飛び出した柴くんは1番最初に紙を選んだ。開いてから何度も目を通しているように見える。立ち止まったまま動かない。もしかしてジョーカー引いちゃった?
《おーっと!1位で飛び出した青ブロック柴くん!紙を開いたまま立ち止まってしまった!まさかジョーカーなのか!?》
アナウンス席にいるのは男バスの先輩。
その実況に注目は柴くんへと向く。
《さあ、発表しましょう!
今年の2年男子のジョーカーは “好きな人”!》
好きな人…これって柴くんに指名された子は公開告白されるって事だよね…?でも柴くんて女の子苦手だって言ってたし好きな人とかもしかしたらいないんじゃ…。
《青ブロック柴くんが走り出しました!
向かったのは…青ブロックの生徒席です!
さあ彼の想い人は…!?》
少し染って見える頬。
意を決したように再び走り出した柴くんが向かった先は私たちのいるクラス席。同じクラスの人なのかな?あれ…でもなんか今すっごい目あってる気がする。
「っ」
『は、はいっ』
私のこと呼んだ?…えっ!?
って言ったよね?
って私しかいないよね!?
「俺と一緒に来て!」
『え、え、でもそれって…っ』
お題は 好きな人 でしょ?どういうこと?
仲のいい女の子が私だけだったから?
とりあえずこの場を切り抜ける為にだよね?
《柴くんと一緒に走っているのは…!
お!我らがバスケ部のだ〜!!!》
そんなマイク通して言わなくても…っ。
視線が集まって恥ずかしい。
結果はなんとか1位でゴール。
『おわ!1位!やったあ柴くん!!』
「う、うん、ありがと…っ」
お題の内容よりも1位を取れたことが嬉しくて
思わず飛び跳ねてしまう。
だって私今のところ全部1位!
これってすごくない!?