第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)

1年が退場するのと入れ替えに
俺たち2年が入場する。

クラスの席の前を通るとき、チラッと目だけを向けるとと目が合った。ひらひらと手を振ってくれるから俺も小さく返してみる。

借り物競争なんて目立つ競技あんまり出たくなかったけどクラスの奴に誘われて渋々出ることにした。もしジョーカーなんて引いたら最悪だ…。

スタート位置について間もなくスターターがピストルを空に向けて構える。

《位置について よーい パンッ》

ここに来る前、が頑張れって言ってくれた。初めて仲良くなった女子。初めて好きになった人。あいつがリレーで1位を取ったみたいに俺だって。

他の奴らより恵まれた体格。あっという間に机までやってきた。選び放題の中何となく選んだ紙を開くと

…え、これジョーカーじゃないの…？

《おーっと！1位で飛び出した青ブロック柴くん！紙を開いたまま立ち止まってしまった！まさかジョーカーなのか！？》

アナウンスによって盛り上がる生徒席

《さあ、発表しましょう！
今年の2年男子のジョーカーは “好きな人”！》

まさにそれ。
今俺の手の中にある紙に書かれている。

…どうしよう。1位…取りたいけど。
ああもう…！タカちゃんなら行くぞ。
だから行け、俺。

《青ブロック柴くんが走り出しました！
向かったのは…青ブロックの生徒席です！
さあ彼の想い人は…！？》

くっそ恥ずかしい…盛り上がりすぎだろ。

「っ」

『は、はいっ』

「俺と一緒に来て！」

『え、え、でもそれって…っ』

戸惑う彼女の腕を引いてゴールを目指す。

《柴くんと一緒に走っているのは…！
お！我らがバスケ部のだ〜！！！》

放送席にいんの男バスなのかよ…最悪だ。

なんとかギリギリで1位ゴール。

『おわ！1位！やったあ柴くん！！』

「う、うん、ありがと…っ」

ジョーカーの内容を忘れているのか1位ということに喜ぶ彼女。盛り上がる実況に恥ずかしさが増していく。