第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
「そ、そのハチマキってさ…」
「ん?」
「それっての?」
「あぁ、と交換して貰った」
3年間、今の今までこういう浮ついたことに全くといっていいほど興味を示さなかったタカちゃんがよりによってと…。
「そっか。」
「お前やっぱのこと好きなんだな」
やっぱって…気づいてたの?いつから?
「なんで知って…るの。」
「顔に書いてある。
が好きですって。
まあアイツは気づいてねえだろうけど。
俺がここまでしても気づいてないしな…笑」
「え、じゃあ付き合ってないの…?」
「まだ、な」
「まだ…?」
「お前も男なら俺に譲るとかそういうのやめろ」
「…分かっ、た。」
俺の肩をパシっと叩いてタカちゃんは自席へと戻って行った。
『三ツ谷くんと何話してたの?』
「いや別に…隊の話、だよ。」
『そっか、2人とも暴走族だもんね!
隊ってことは他にもたくさんいるの?』
暴走族 のところを小声でこっそり言う彼女。
別にバレたらどーとかないけど…
そんな気遣いをする彼女が可愛くて頬が緩む。
「あ、うん。今は100人くらいかな。」
『ひゃ、ひゃく?すごい…
2人は何隊なの??』
どこまで聞いて大丈夫?って伺うに、別に隠してないから遠慮しなくていいと言うと笑顔を見せてくれた。
「何隊っていうか、壱から伍番隊まであるんだ。タカちゃんは弐番隊の隊長で俺はそこの副隊長だよ。」
『へー、2人ともすごいね。強いんだ!
かっこいいね!』
「かっこ…」
『かっこいい!』
「あ、あり…アリガト。」
え…やばい。好きな人から言われるかっこいいってこんなに嬉しいものなの?そもそもかっこいいなんて言われることがあまりない。
『あっ!私そろそろ
選抜リレーの招集かかるから行くね!』
「あ、うん。頑張って!」
『うん、1位とってくる!』
グッと俺に突き出された拳に戸惑いながらも
自身の拳を差し出すとコツンと当たった。
満足そうに笑顔を浮かべて走っていく彼女の背中を見つめていると、追いかけるように走り出すタカちゃんが視界に入る。
タカちゃんも選抜でるんだっけ…
2人が話すかもしれないところを見たくなくて
タカちゃんがに追いつく前に
視線を前へ戻した。