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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)


俺に気づく気配もなく、から受けとったハチマキを嬉しそうに眺めたあと彼女の頭を撫でて自分の教室へと行ってしまった。タカちゃんのあんな顔見たことねえよ。

「…」

『…っ柴くん?』

気まずそうな顔をする彼女。
さっきまで凄く嬉しそうな顔してたのに。

「そ、それタカちゃんのハチマキ?」

『あ、うん。…見てた?』

「うん。話しかけようかと思ったんだけど、タカちゃん俺に気づいてなかったし急いでたみたいだから。」

『そっか…もうすぐチャイムなるし
三ツ谷くん急いでたのかもね。』

「タカちゃんと交換したんだね」

自分でも分かるくらいに声が震えてる。

すると、
何かに気がついたような顔をした

『あ、え…ごめん柴くん!
私ってばなんで気づかなかったんだろう。三ツ谷くんのハチマキは柴くんが交換したかったよね…?』

へ…?

「え、いや俺は別に…」

『いやいやだって2人すごい仲良いし…っ』

「俺が交換したいのは…っ」

キーンコーンカーンコーン 「だよ」

『なんて…?』

「…いや、なんでもない。」

俺の小さな声はチャイムにかき消された。
いや、チャイムがならなくたって聞こえなかったかもしれない。だけど聞こえなくていいんだ。タカちゃんと付き合ってるかもしれない彼女に俺が何をしたって敵わないんだから。

なのにどうしてこんなに悔しいんだろう。
最初から分かってたのに。
俺はタカちゃんに勝てないって。

への想いがこんなに大きくなってたなんて気が付かなかった。こういう時ってどうしたらいいんだろ…。

『…くんっ、柴くんいこ?』

「…っあ、うん」

ボーッとしている俺を心配そうに覗き込んで校庭へ向かうよう促してくれる。

運がいんだか悪いんだか外でも席は隣だった。
俺たちのクラスの隣には3年生がいて、そのクラスは同じブロックであるタカちゃんのクラス。

「よぉ八戒っ」

「あ、タカちゃん」

「お前も借り物競争でんだろ?
がんばろーな!」

二ッと笑ったタカちゃんはいつも通りで
気まずいのは俺だけ。

「うん、頑張る」

「どーした?元気ねえの?」

「いや…」

「なんだよ言えよ」

今更隠し事か?ってムッとするタカちゃん。
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