第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
朝、学校へ向かう道のりでを見つけた。無意識に歩く足は速まって気づけば彼女の隣を歩いていた。俺から話しかけることはほとんどないから、なんて声をかけていいか分からない。勇気を振り絞って呼んでみたけど、どこか上の空な彼女に俺の声は届いていない。
「」
『…』
「?」
「…柴くん?」
やっと届いた声に彼女は振り返って
その瞳に俺を映してくれた。
「何回か声掛けたんだけど…」
『うそ、ごめんね気づくの遅くて。』
「顔疲れてるし…なんかあった?」
申し訳無さそうに眉を下げる表情に
いつもみたいな元気がなくて心配になる。
『ううん、別に何も無いよ。』
何かあったんだと思う。
だけどこれ以上は聞けなかった。
「そう?ならいいけど…」
によって話題は今日の体育祭へと変わった。そのまま他愛のない会話をして俺たちは教室へと着いた。女子と登校するのなんて初めてだった。それがとなんて今日は朝からツイてるな。
「まだ先生来ないよね?
俺トイレ行ってくる」
『まだ大丈夫だと思うよ』
チャイムがなるまであと少し。
直ぐに戻ると教室のドアの前にタカちゃんがいた。もしかして俺に用があるのかなって駆け寄ろうとしたけどタカちゃんの手には青色のハチマキが握られていて、その手はに差し出されていた。
「八戒じゃなくてお前に用がある。
これ俺のハチマキな…交換してくれんだろ?」
『え…っ』
聞こえてくる会話に胸が痛む。
なに、これ…。
「なんだよ、昨日の約束はナシか…?」
昨日の約束?
『えと、その為に走ってきたんですか…?』
「…あぁ。」
なにそれ…。
タカちゃんもが好きなの?
もしかしてもう2人は付き合ってるのかな。
どうしよう苦しい…かも。