第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
「明日体育祭だな」
『ですね、楽しみです!』
今日は歩きたいと言う彼女と並んで歩く帰り道。
いつもはあっという間に着いてしまう道も
2人並んで喋りながら歩けば少し距離がある。
三ツ谷くんと一緒に歩いて帰りたい
そう言った彼女の頬は少し紅く見えた。
だんだん小さくなる声で紡がれた言葉。勇気をだしていってくれたんだろうと少し自惚れる。それなら俺も少し勇気を出そう。
「あのさ」
『?』
「明日の体育祭さ」
『はい』
「俺とハチマキ交換しないか?」
『え、私のと…ですか?』
「ん、そう。」
動揺するのも分かる。
ハチマキを交換するのは恋人同士か、好きな人に頼むか、仲のいい女子同士とか…俺はが好きだからダメ元で頼んでんだけど。
『えと…あの…っ』
「あ、他に約束してるやついた?」
先に確認しときゃ良かったな…早まった。
『いえ、えと、三ツ谷くんから言われるなんて思ってもなくて驚いただけというか…』
「じゃあ俺のと交換してくれる?」
『もちろんです!』
「ん、良かった。
明日の朝のとこいくから待ってて」
ゆっくり10分ほど歩けば見えてきた彼女の家。また明日になれば直ぐに会えるのにもう少し一緒にいたいと思ってしまう。彼女との距離が少し近づいたからか俺は多分今浮かれてる。
『あ…もう着いちゃいましたね』
「歩いてもやっぱ近かったな笑」
『ですね、ワガママ聞いてくれてありがとうございました!バイク重いのにすみません。』
「いつもより一緒にいられたし俺は楽しかったから気にすんな。また次も歩いて帰ろうな?」
『いいんですか??』
「俺はお前と歩くの楽しかったぜ」
俺の言葉を聞いてへらっと笑った彼女。
じゃあ次もって、また少し頬を紅く染めるからやっぱり俺は浮かれてしまう。こんな表情俺以外に見せたくねえなって独占欲まで湧き始めた。