第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
廊下の窓から見える自販機のある中庭。
八戒と…か。
2人でベンチに座って昼飯を食ってる姿が
まるで恋人同士みたいでモヤモヤする。
八戒が女子と昼飯とか雨降るだろ…。
会話は聞こえてこないけど、の笑う横顔を見つめる八戒の表情があまりにも柔らかい。あんな顔今まで見たことない。ひと目で分かる、彼女に惹かれてるんだろうなと。
八戒が女子と話せるようになったんだから
喜ばしいことじゃねえかよ。
なのに全然嬉しくないどころか心に霧がかかったようにモヤモヤする。相手がじゃなければきっと喜べた。コイツは良い奴だぜって胸張って言ってやれるのに…ごめんな八戒。俺もに惹かれちまってるみたいだわ。けどまあ、弟分と女取り合うとかなんか燃えるわ。
「おい三ツ谷〜なにみてんの?
…って、アイツいつも一緒にいる奴?」
『ん、そー八戒な。』
窓から下を見つめたままの俺を気にして
声をかけてくれたクラスメイトも窓の外を見る。
ほぼ全ての休み時間に俺に会いに来る八戒をさすがに覚えたらしい。イカつい見た目に反して タカちゃんタカちゃん、と俺の名前を呼んであとを着いてくるもんだからクラスでは “大型犬” なんて言われてる。
「あれ、今日は女の子といるじゃん珍し。
…え、あれ女バスのちゃん?」
「なに、のこと知ってんの?」
「知ってるも何も可愛いって有名だろ?
おまけに運動神経もいいなんてスペック高ぇよな」
女の子は絶対にロング派だったけどを見てるとショートもありだと思えてきた、というクラスメイトのどうでもいい情報まで手に入れた。
まあ顔整ってるとは思ってたけど他学年に言われるほど有名だったのか。こりゃ敵が多そうだな。