第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
昼休み開始のチャイムがなって
隣の席のがすぐ俺に声をかけた
『あ、ねぇ一緒にお昼食べない?』
自販機行くだけだと思ってたけど
女子と昼飯2人で食うの...はじめて。
しかもと...俺大丈夫かな。
「あ、え、うん」
ヤバい心臓ドクドクするよ...
『じゃ、外行こ!』
俺の手首を掴んでズンズン進んでいく。
自販機の横にあるベンチ。
そこへ2人で並んでお弁当を広げる。
「あ...あの、俺と昼飯食ってて楽しい?」
こんなこと聞きたいわけじゃないのに。
何話したらいいか全然分かんねえ。
『んー?楽しいよ?』
「う、そ...」
『なんでそう思うの?
私は柴くんと仲良くなりたいよ』
「...っ俺も。俺もと仲良くなりたい。」
自分から女の子と関わりたいとか
ましてや仲良くなりたいと思ったのは
がはじめて。胸がザワザワして変だ。
『ほんと?...良かった!』
少し不安だったのか俺の返事を聞いて
彼女の表情がぱぁっと明るくなった
「俺...女子と話すの苦手で。
タカちゃんにも姉貴にも直せって言われるんだけど...」
『柴くんお姉さんいるの?』
「あ、うん。」
『柴くん綺麗な顔してるから
お姉さんもきっと美人なんだろうなあ』
「は...え、?」
なになに、俺の顔が...なにっ?
『ん?柴くん綺麗な顔してるなーって
顔小さいし目大きいし睫毛の量多いじゃん』
あんま言われたことないからよく分かんねえ...
よく分かんねえけど心臓がバクバクいってるのは確か。
「そんなこと言ったら…だって顔小さいし目大きいだろ。睫毛だって長いと...思う。」
『うそ、褒めてくれるの?
ありがと柴くん嬉しいっ』
嬉しそうに微笑んだ彼女の伸び掛けの髪を
風がフワっと揺らした。綺麗...だな。
あ、これ...あれだ。
初めてを起こした時も窓から入ってきた風が、顔にかかってた髪をスルッと落として、こっちを向いて寝ていたの寝顔が見えたんだ。すごく気持ちよさそうに寝てて...なんだか綺麗だなって思った。
目を覚まして視界に俺をうつした時の
心臓のドクドクを今も覚えている。