第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
バイクに乗る時も降りる時も三ツ谷くんは手を貸してくれる。柴くんと一緒にいる所をよく見かけるからあんまり気が付かなかったけど女の私からすれば三ツ谷くんも十分背がある。手も大きいし。
すごく小柄だと思っていたけど170cm...くらいかな?
柴くんは…ありゃ高すぎる。モデルみたい。
「んじゃ、お前もう家入りな」
さっきまで貸してくれていた手を今度は私の頭にのせて、ポンポンと撫でてくれた。三ツ谷くんって普通にこういうことしてくるけど妹いるからかな...。年下は興味無い...のかな。
『はい、気をつけて帰ってくださいね』
「さんきゅ」
いつも私が家の中に入るまで三ツ谷くんは手を振ってくれている。パタンと玄関の扉を閉じると聞こえてくるエンジンの音。遠ざかっていく音に少し寂しくなる。もう会いたいなんて...私ほんとに三ツ谷くんの事好きなんだ...。
三ツ谷くんはあと1年もしないうちに卒業しちゃうし...学校で会えたらもう少し自分から話しかけてみようかな。
体育祭も同じブロックだもんね。
ハチマキ交換とかしてくれるかな。
いやでも三ツ谷くんきっとモテるからな。
恋って...こんなに突然するものなんだ。
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体育のあとの授業ねっむ...。
寝ようか、なんて考えるより先にカバンからタオルを引っ張ってそれを枕代わりに机へ突っ伏した。
「ちょっと...っ
また寝てるのかよ...おい、次当たるぞ」
隣の席から私をつついて起こす柴くん。
あれ、前にもこんなことあったな。
あのときはペンでつつかれてたけど...
今日は指でトントン、とつつかれた。
『ん…ありがと柴くん。』
またしても柴くんのおかげで怒られずに回避できた。前みたいに飲み物一緒に買いに行こうかな。いつもの様に三ツ谷くんのところへ行こうとする柴くんを呼び止める。
『柴くんっ』
「は、はいっ」
相変わらず後ろから話しかけると驚いた顔されるな。
『あー…昼休みになったら自販機いこ?』
「あ、う、うん分かった!」
だけど今回は分かった、と笑顔を見せてくれた
前とは違う表情を向けてくれるようになった彼と
もう少し...いや、もっと仲良くなりたい。