第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
バイクを走らせてほんの数分。
直ぐに見えてくる彼女の家。
『また送って貰っちゃってすみません。
ありがとうございましたっ』
「毎日部活頑張ってんだから帰り道くらいたまにはラクしろ。俺のこと見かけたら足に使っていいから声掛けな」
『な!そんなことできませんよ!』
さっきまで笑顔でお礼を言ってたのに、今度はブンブンと首を横に振ってコロコロ表情の変わるヤツだな。
「んま、見かけたら俺が声かけるから
そんときは素直に送って貰え、な?」
『...っありがとうございます
そのときは甘えさせてもらいますね』
また笑顔を見せてくれたに
本日2度目の胸がぎゅうっとなった。
なんだよこれ...
「んじゃ、お前もう家入りな」
『はい、気をつけて帰ってくださいね』
「さんきゅ」
彼女が家の中に入ったのを見送ってから再び愛機にエンジンをかけ、家までの道を走った。
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side 夢主
いつも通り部活を終えて帰る家までの道。
近づいてきたバイクの音が止まって
聞き覚えのある声が私を呼ぶ
「おーい、ー!」
名前で呼ばれるのも慣れてきた頃。
『あっ三ツ谷くん!!』
「よっ、今帰り?」
『はい、部活だったので今帰りです!
三ツ谷くんは、えと…集会?ですか?』
「そ、東卍の定期集会な」
最近は集会ってやつの帰り道の三ツ谷くんとよく遭遇する。私としては凄く嬉しいというか…つい顔が綻んでしまう。
『柴くん一緒じゃないんですね?』
「八戒送った帰りだから俺1人。
あー…八戒に会いたかったか?」
少し寂しそうに眉を下げた三ツ谷くん。
『いえ、いつも一緒にいるイメージがあったので』
「そ、じゃあ送ってやるから乗りな」
『いつもすみません...っ』
「遠慮すんなって!
乗るの何回目だよ、ははっ」
数回乗せてもらってもまだ慣れないバイク。
手を貸してもらいながら後ろにまたがった。
数分走るとすぐに私の家が見えてくる。
もう少し一緒にいたいな...なんて絶対言えないけど。
三ツ谷くん彼女いないって柴くんが言ってたし
私にもチャンスとかあったり...するのかな。