第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
あれは…だ。
またこんな遅くまで部活だったのかな。
定期集会のあといつも通り八戒を家まで送って自分の家へ向かう途中、重そうな部活バッグをもった見覚えのある女の子を見つけた。
「おーい、ー!」
『あっ三ツ谷くん!!』
俺を視界に映すなり嬉しそうに笑顔を見せてくれる
「よっ、今帰り?」
『はい、部活だったので今帰りです!
三ツ谷くんは、えと…集会?ですか?』
助けたあの一件から少しずつ話すようになった俺たち。八戒が珍しく(少しだけ)話せる女の子。兄貴分としてはそんなの興味がわくに決まってる。
「そ、東卍の定期集会な」
『柴くん一緒じゃないんですね?』
「八戒送った帰りだから俺1人。
あー…八戒に会いたかったか?」
『いえ、いつも一緒にいるイメージがあったので』
「そ、じゃあ送ってやるから乗りな」
『いつもすみません...っ』
「遠慮すんなって!
乗るの何回目だよ、ははっ」
定期集会の帰りとが部活終わりこの道を通る時間はほとんど一緒らしく、あれから何度か見かけては声をかけ愛機に乗せて家まで送っている。
「...そんな掴まらなくても落ちねえぞ?」
『まだ、こ、怖いので...っ!』
何度乗せても俺の腰に回した腕にぎゅうっと力を込める。きっと俺たちの生きる世界とは交わるはずの無かったこの子の世界。八戒曰く、の周りにはいつも人が集まってて、そこにいる人はみんな楽しそう。授業は寝てるけど、だそうだ。
「そーいえばさ」
『はいっ』
バイクで走りながらの会話は声が聞こえずらくて自然と距離が近くなる。の唇が耳元にあって...なんか、胸がぎゅうってなる。なんだこれ。
「...っそういえば、体育祭の種目なにでんの?」
『選抜リレーと部活対抗リレーでます』
「どっちもリレー?足はえーんだ?」
『まあまあです、三ツ谷くんは?』
「俺は選抜リレーと借り物競争」
『選抜一緒ですね!
あと...たしか柴くんも借り物競争ですよ!』
「今年俺たちブロック一緒だよな?
たしか1-1、2-5、3-2が同じだっけ。」
『ですね!一緒嬉しいです!』
今年は各学年5クラスずつあるから
5ブロック5カラーに別れての体育祭。
俺たちはEブロックのブルー。