第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
「お、八戒いんじゃんっ!」
「えっタカちゃん?と、。」
クラスの奴らと盛り上がっていると、それをすり抜けて聞こえてきたタカちゃんの声。その隣には。わざわざ2年の教室まで送りに来たんだ。
「なんだ八戒、お前友達いたんだな!」
「ちょっと!ひどいなタカちゃんっ!」
そりゃいつも俺はタカちゃんのとこ行くけどさ…
一応友達くらいいるからね!?
「ははっ、じゃあチャイムなるし戻るわ!」
『あっ、三ツ谷くんありがとうございました!』
少し名残惜しそうな表情でタカちゃんを見つめているのは俺の気のせいかな。気のせいならいいのにって思ってる俺は何なんだろう。
「おう、またな!」
ポンッとの頭を撫でたタカちゃんがくるっと背を向けて自分の教室へ戻っていく。それと同時にの頬がほんのり紅く染まったのが分かった。
はタカちゃんが好きなんだね。
…かっこいいもんね。
優しくてスマートで年上で。
俺が持ってないもん全部もってる。
理想の兄貴分…俺の自慢の隊長だ。
タカちゃんかっけえだろ!って言いたい。
なのにこの気持ちはなんなんだろう。
俺は…に惹かれてるんだろうか。
昨日夜道を歩く彼女に先に気付いてたら
俺を見つめて頬を染めてくれてたのかな。
…考えたって仕方ねえよな。
『し、柴くんっ』
「っはい!」
やば…変なこと考えてたせいでデカい声出た。
『あの…、三ツ谷くんのクラス教えてくれて…ありがと。その、三ツ谷くんて彼女とか…い、いるのかな。』
「いや…聞いたことないけど…っ」
『…そっか!変な事聞いてごめん!』
あぁやっぱりタカちゃんが好きなんだ。
それで胸が苦しくなってる俺はきっと
を好きになってる。
失恋スタートの恋って辛すぎ…。
タカちゃんみたいにカッコイイことはできないけど
同じクラスだし…好きになってもらうチャンスは
きっとあるよね…。