第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)
次の日の朝。
洗ったハンカチを気持ちばかりのお菓子と一緒に小さな紙袋へいれてカバンにしまった。休み時間にでも三ツ谷くんのところへ行って返そう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『柴くんおはよう』
「お、おはよう」
昨日より進展したであろう仲。
それにしても柴くんが暴走族なんてちょっと納得してしまう。背が高くて、頭には剃りこみがあって...1人で居る時は人を寄せつけない雰囲気がある。女の子に話しかけられるといつも無視してる思っていたのはフリーズしてたんだね。それを知るとなんだか可愛いと思ってしまう。
『あのさ、柴くん』
「ん?」
『三ツ谷くんて何組?』
「タカちゃん?」
『うん、そうタカちゃん』
「タカちゃんはたしか3-2だった気がする
会いに行くの??」
『会いにっていうかー…
昨日ハンカチ借りたから返しに行きたくて。』
会いに…行くのか私は。
あれ、なんか心臓ドクドクいってる。
三ツ谷くんに撫でられた頭が…名前を呼んでくれた声が…心配そうに私を見つめる瞳が…鮮明に思い出せる。なんだろこれ…苦しいや。
「あ…俺が渡しておこうか…?」
その方が楽だしそうしてもら…っ
『…っ自分で渡したい、かな。あ、その、私が借りたし…!人伝いで返すの失礼かなーって!はは。』
何言い訳なんてしてるんだろう。
だけど私が返しに行きたいって思った。
それになんか…会い…たいんだと思う…。
「そ…っか。」
『う、うん!ありがとうねっ』
なんだか恥ずかしくて自分が今どんな顔してんのか分かんない。柴くんの表情も少し引きつってて…私やっぱ変なこと言ったよね…。
休み時間を告げるチャイムがなって
緊張で体が強ばるのが分かった。
『あ、じゃあ三ツ谷くんのとこ…行ってくるっ』
「あ、うん…行ってらっしゃい」
私に返事をしたあと柴くんは珍しくクラスの男の子の輪に入っていった。もともと友達がいない訳ではなさそうだし、男の子同士でいるときはそれなりに楽しそうで笑ってることも多いってさっき気づいた。