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今宵は誰の腕の中で眠りますか⋯?

第8章 トライアングル (三ツ谷隆 柴八戒)



何か話題ないかなー…

ぐるぐる考えていると

「八戒?」

柴くんを呼ぶ声が背中から聞こえた。

「タカちゃん!!」

その声の主を確認する前にぱぁっと表情を明るくして振り返る柴くんはブンブン尻尾をふる大型犬に見えた。

飲み物ありがとう、といつもの調子に戻った柴くんが私にお礼を告げて、タカちゃんって人のところへかけて行ってしまった。

「タカちゃん!タカちゃーんっ!」

少し離れていても聞こえる柴くんの声。
よっぽどタカちゃんが好きらしい。

彼と仲良くなるのはしばらくかかりそうだなあ。

「ー」

教室まで戻る途中の廊下で
クラスメイトに引き止められる

『お、なになに』

「さっき一緒にいたのって柴?」

『そうそう柴八戒くんね〜』

「珍しい組み合わせだなと思って
仲良かったっけ?てか話したことあるの?」

『いや、ないんだけど仲良くなりたくて。
さっき寝てたら問題当たるよって起こしてくれたからお礼に飲み物奢っただけだけどね。』

「ふーん、なるほどね
アイツが女子と話してんの見たことないや」

『私も見た事ないなあ』

そのまま他愛のない会話をしながら教室へ戻ると、しばらくしてチャイムギリギリで柴くんも戻ってきた。さっきまでの明るかった表情はどこにもなく、幻でも見た気持ちになる。

残りの授業をぼーっ受けてチャイムがなると同時に部活へと向かう。けど今日からは教室を出る前に

『柴くんじゃあね!また明日!』

少しずつ仲良くなっていこう。

「…っ!あ、うん。またあ…した。」

まだ帰りの準備をしていた彼は少し驚いた顔をしていたけど手を振った私に小さく手を振り返してくれた。

私の所属している女子バスケ部は強豪で有名。
毎日遅くまで練習があって帰る頃には真っ暗。
家までの道は人もあんまり通らなくて少し怖い。

「キミ学校帰り?1人?」

『っどちら…さまですかっ』

上下真っ黒な服を着た男の人。
…誰だろ。知らない人だ…ちょっと怖いな。

「俺らここらへん仕切ってる東京卍會ってとこのもんだけど分かるかな?」

『東京…卍會…』

名前だけなら聞いた事があるような。
暴走族?だっけ。
その人が私になんの用だろう…怖いな。
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