第7章 心酔愛(乾 青宗 / 九井一)
「おかえ…り、ソレ寒くないの」
『ちょっと寒いけど朝起きたらいっつも布団はいでるんだもん、寝てる時は暑いんだろうなーと思って最近はコレで寝てる』
「ふーん
ねぇこっち来て。」
こっちに来てと腕を伸ばす青宗
『ふーん、て…
ねえ待って今気づいた…。
青宗そのスウェットどうしたの』
ジャストサイズのスウェットを着ている違和感。青宗がわざわざ着替えを持ってウチに来るとは思えない。思いつきで泊まることにしたっぽいし。私のお父さんのだとしても父は青宗よりも背が高いしこんなに細くない。私のものにしては大きいしお母さんはスウェットを持ってなかったはず。
「の母さんが俺とココの分用意してくれてた。いつもフラっとくるから買っておいてくれたんだって。ありがたいよな。」
『お母さん…』
確かにお母さんなら有り得るな…。
幼なじみの力恐るべしってやつだ。
「…ワカくんと楽しかったか?」
やっぱりこの話題に触れてくるよね。
『あ、うん楽しかったよ。
ザリのうしろ乗せてもらって海行ってきた。美味しいカフェも見つけてね、何から何までしてもらったし今度お礼しなきゃ。』
「ザリ乗っけてもらったのか?
いいなあ…今度俺も乗せてもらおーかな」
『青宗はほんとにワカくん好きだね』
「あぁ、初代は俺の憧れだからな。
だけどとのデートは別の話だ。
大人しく待ってたよ俺。偉い?」
『いや偉いとかないでしょ…』
「だけど着いてかないで待ってた」
『言っとくけどそれが普通だからね!』
「…偉いって頭撫でてくれたらそれでいいだろ。」
それでいいだろって拗ねることなの…?
頬を膨らませた青宗がぷいっと顔を背ける。
『…偉いね青宗』
ふわっと頭を撫でると背けていた顔を私に向けてふにゃりと微笑んだ。今日もまた…私の言葉や行動ひとつで機嫌がコロコロ変わる。そんなところすら可愛いと受け入れてしまう私は重症なのかな。