第7章 心酔愛(乾 青宗 / 九井一)
「殺す?はは、言ってくれるぜ
いつも引っ付いてる取り巻きの男2人なしで何が出来る?総長だろーが所詮は女だろ!!」
『来いよ』
「まあそんな急ぐなって
なあ!?お前ら!」
男の声でゾロゾロと出てきた人影
コイツ…兵隊隠してやがった…!
建物の影から10人弱の男がでてきて私たちを囲う。私1人で10人相手に戦えるか?時間なら稼げるだろうか…とりあえずワカくんを逃がさないと。
『…女1人相手に大人数とかダサいんだよ』
「なんとでも言えよ…行け!!!」
「「「「「うぉおおおお!!」」」」」
四方八方から殴りかかってくるソイツらを避けながら戦う。見た感じ1人1人の威力は弱いかもしれないけどまともに食らったら体が持たなくなる。半分減ったところで建物の影から更に10人ほどの人影がでてきた。
『…っ!』
「どーした総長さん?」
『…ワカくん逃げてっ』
「…おいおい俺が可愛い妹置いて逃げるわけないだろ」
『でもワカくんはもう…っ』
「早く片付けてデートの続きしたくねえ?」
『し、たい…』
「なら…久々に暴れっかな」
「はっ!細っこい女みてぇな男が1人増えたところでなんも変わんねえよ!」
互いの背中を守るように背中合わせで立ち襲撃に備える。チラッとワカくんを見ると黒い笑顔を浮かべていてなんだか楽しそう。
飛びかかってきた男をフワッと飛んで避けると同時に首元へ蹴りを入れる。
「お、綺麗に決まったなあ!」
『えへへ』
相手の攻撃をいかに受けずにこちらからダメージを与えられるか。この闘い方はワカくんに教わった。
やっぱりワカくんの闘い方は綺麗だ。カタギだなんて嘘みたいな身のこなしで思わず見惚れてしまうほど。残るはあと一人。主犯格の男だけ。
「…っお、おい!お前…もしかして…!」
やっと気づいたかワカくんの正体に。
「俺の可愛い妹に手出しやがって…
歯ぁ食いしばれや」
「…っ伝説の初代黒龍…特攻隊長 今牛若狭か!?」
みるみる青ざめて震え出す男。
今更気づいたって遅い。
『私の連れに手出したら…覚えてるよな』
ドゴ…ッ
鈍い音と共に男は倒れ、
私たちは単車を取りにその場を離れた。