第7章 心酔愛(乾 青宗 / 九井一)
「はさ…どうしたいの」
防波堤に2人並んで腰を下ろすと
ワカくんが口を開いた。
『私は…2人と一緒にいたい。
どちらかを選ぶことはしたくない。』
「アイツらの気持ち分かってんだろ」
『…』
何もかもを見透かすように掛けられる言葉。
私は…どうしたいの。
「昨日も抱かれたんだろ」
『…っえ?』
「首の後ろに跡ついてるよ」
『…せ、いしゅうかな…。』
跡は絶対付けないでって言ってるのに。
帰ったら説教だな。
「嘘だよ、ほんとに抱かれたの?」
『っ最悪…引っかかった…。』
「カラダ大切にしろって言ってるよな俺。
喧嘩強いとか総長とか…それ以前にお前は女の子なんだよ。」
『分かってる…痛いほどわかってる。
だけど突き放せないの…。』
「が本気で嫌がったくらいで離れていかないだろアイツらは。なあ…何を怖がってる?」
『…っ2人が…2人の目が…私を愛おしそうに見つめるの…。その目を見たら嫌だなんて言えなくて…それに私が本気で嫌がれば無理にシてこないことは分かってる。2人の温もりに甘えてるのは私の方だよワカくん…。』
蹴っ飛ばしてでも逃げれば2人は無理にしてこない。そんなの分かってる。だけどシたことを後悔なんてしてない。それでもどっちかを選んで結ばれるのは…やだな。
「俺ね、1度は地に落ちた黒龍を立て直してくれたお前たちには感謝してるよ。8~10代目最悪だったからな…。だからそんなお前たち3人にはずっと笑ってて欲しいと思ってる。もちろんしんちゃんたちも思ってる。」
『ワカくん…』
「2人とシてようが構わないけどさ、が壊れないか心配なだけ。俺と2人で会うことすらアイツらいい顔しなかっただろ。」
『気づいてたの?』
「俺がに近づいただけで空気ピリッたもんなあ。愛されてるよお前は。またこっそり俺と気分転換デートでもしよーな」
『次こそ2人に怒られるよ?笑』
「舐めんな、白豹のワカだぞ」
『あはは、そうだった
ワカくん最強だもんね!』
「ん、だからいつでも頼れ」
そういってポン、と頭を撫でてくれたワカくんの手があったかくて優しくて油断したら涙が溢れてしまいそうになる。