第7章 心酔愛(乾 青宗 / 九井一)
「お、おかえり
今日は戻ってくんの遅かったのな」
『しんちゃんただいま〜
友達と話してたのー』
「きらが告白されてて遅くなったんす」
『こらはじめ!すぐバラすな!!』
「え、告白?まじ?さすがだな…
じ、じゃあきら彼氏…っできたのか!?」
『お断りしたから変わらずフリーだよ』
「そっかそっかあ、良かった〜」
ニコニコと近づいてきた若狭くんが 良かった〜、と言いながら私のウィッグをとって地毛にクシを通してくれた。そして隣に置いてあったイスに腰をかけ、足の間に私を座らせた。
若狭くんの左腕が私の腰に回り、右手は私の頭を撫でている。撫でているというより髪を触っている。
「…おいワカ」
「なあにしんちゃん?」
「やめとけよ…」
しんちゃんの言いたいことは分かる。きっと若狭くんも分かっててやってる。だってさっきから青宗とはじめの視線が痛い。とくに青宗の。
「…なに青宗?さっきから見てっけど」
「…っいえ。」
さすがの青宗も若狭くん相手に立ち向かうことはしない。青宗にとって若狭くんとしんちゃんは憧れの存在であり頂点だ。だけど不服なことに変わりはないのか表情が曇っていく。
「きら〜」
『んー?』
私の肩に顔を乗せて耳元で名前を呼ばれる。
「今度俺とデートしてよ」
一瞬で青宗とはじめの空気が変わったのが分かる
『え?若狭くんと私で?』
「今ここに可愛い女の子はきらしかいないよ?」
『全然いいよ?珍しいこと言うなと思っただけ』
それでも相手は若狭くん。
彼氏でもない2人に気を遣うことはない。
「きらと2人っきりで出かけてみたかったんだよなあ。何でも欲しいもの買ってやるからきらの行きたいとこ行こ。」
確かに2人きりってなかったかも。ベンケイくんと武臣くんを含めた7人でご飯に行ったり買い物に行くことは今まで何回もあるけど。
『ほんとに?じゃあなんか考えとこーっと』
「じゃあ週末な?
迎えに行くからなんか考えといて」
『わかった、楽しみにしてる!』
「ん、俺も」