第6章 狂おしいほど愛してる②(梵天)
『ありがとうございます。
では遠慮なく頂きますね。』
別にお酒好きじゃないんだけれど…
そしてここの嬢でもないのだけれど…
でもせっかく贔屓にしてくださってる方だ。
飲むしかないよね。
無理するな、という視線を向けるはじめくんに
大丈夫、と視線を送り返してお酒を流し込んだ。
『…飲みやすいですね、甘いです』
思ったよりずっと甘くて飲みやすかった。
「そうだろう、そうだろう??
ほれ、もっと飲みなさい!」
まあこれなら大丈夫かも…と勧められるまま
何杯か体に流し込んでいく。
「ありゃりゃあ〜まっかだねぇ〜かわいいねえ」
細身の男の手が私の頬に触れる。
『んっ』
え…?なに…今の。
「可愛い声が聞こえたなぁ〜?どうしたのかな?」
わざとらしい話し方。
『いえ…すみません。』
「おじさん達とする気になったのかなあ?」
そう言って次は太ももに触れられる。
『っ!』
ピクっと体が反応してしまった。
なに…これ。体が熱い。
まさか…なんか入ってた…?
「うひょ〜かわいいねえ〜っ
おじさんに触られて反応しちゃったねえ?」
「おい、黙って見てりゃ…お前ら。
うちの姫に手ェだしやがってよお」
『はじ…め、くん?』
呼吸すら乱れ始めた私を見てさらに
怒りのボルテージがあがるはじめくん。
「お前ら酒になんかいれたろ?媚薬か?
そんなんでコイツ持ち帰れると思ったか?」
「へ…?い、いやそんなまさか…っ」
「おい、鶴蝶ボスに連絡入れとけ」
「もう入れてある」
「ゆ、許してくれ…!」
ボス、という言葉を聞いて震え出す2人。
「お前ら太客だかなんだか知らねえけどさ
姫にだけは手ェ出されたら困るんだわ」
『はじ、めくん…もう平気…だよ
お客様だ…し、私たちはも…帰ろ?』
お店を贔屓にしてくれているお客様と揉めたくはない。マイキーに連絡を入れたと言っていたけど…どうなるんだろう。帰って何も無かったと訂正すれば大丈夫だとは思うけど。
そのとき太めの男の携帯が鳴った。
「出ろよ」
なおも怒りが収まらないはじめくんに言われ
すぐに通話をはじめた。
「もしもし」
《次うちの姫に手出したら消すからな》
「え…この声…何で俺の番号…」
《消すからな?》
「は、はいっ」