第6章 狂おしいほど愛してる②(梵天)
「お久しぶりです。
御足労頂きありがとうございます。」
他店舗と同様私たちを出迎え、奥の部屋へと通される。すでに店はあいておりチラホラとお客さんが見え始めた。
時刻は16:30。
随分と早い開店なのね。
『開店するの早いんですね?』
気になったことを素直に聞いてみた。
「あ、今日は特別早いんです。
太客の団体様が貸し切りたいとのことでしたので」
『なるほどね、そのお客様にご挨拶させて?』
店を貸し切るなんて一体どんなお客様?
なんにせよお得意様には挨拶をしなければ。
「あ…いや、でも…」
『どうしたの?』
「…かなりボディタッチが多めなお客様で…。」
『そう…なの?あ、でも。
はじめくんとカクちゃんいるし大丈夫よ』
「左様でございますか。
ですが何かありましたらすぐに…」
『うん分かった、ありがとうね』
忠告を聞き終えた私は内心少し警戒しながら別室のVIPルームでお客様を待った。
「お前俺らの間座っとけ」
『そうだね、そうしようかな』
心配をしてくれているのであろうはじめくんに言われて、何も無いとは思うけど一応2人の間に座らせてもらうことにした。
「失礼致します」
ボーイの子に連れられてやってきたスーツの男が2人。1人は細身で1人は大きめの体。いかにもお金を持て余してますって感じがする。2人とも少しニヤついた表情をしていて、部屋に入るなり私をつま先から頭の先まで舐めるように見る。そのなんとも言えない気持ち悪さに鳥肌が立つ。
『…っはじめまして。
オーナーのです。』
正確にはオーナーでは無いが…細かいことはいいだろう。面倒くさいからこうやって自己紹介をすることが多い。
「こんなに可愛いオーナー様は見た事がないよ
肌も白くて綺麗だねぇ…食べちゃいたいなあっ」
う…きもちわる…っ!!
『はは、いつもご贔屓にしてくださって
お礼がしたく、本日ご挨拶させていただきました』
「オーナーさんはおいくつかね?
かなり若く見えるんだがぁ」
こんのジジィ話聞いてないな…!
『27でございます。』
「わっかいのに立派だねぇ
梵天はこんな美人がたくさんいるのかなぁ?」
『いえ、残念ながら
女はわたくし1人でございます。』
そう、ほんとに私ひとり。
他に女の子いたらよかったのにな…