第6章 狂おしいほど愛してる②(梵天)
お店の端にある細い通路の先に嬢達の待機部屋があるとは聞いていたけれど、思ってた以上に狭い部屋。
「…っさん!」
嬢の中の1人が私を見て名前を呼ぶ。
人懐っこくて可愛らしい子、そんな印象。
『こんにちは』
「お久しぶりです。
今日はどうしてこちらに?」
『九井たちとお店の現状とか売上状況の確認をしにきたの。私はそういうのよく分からないから皆のケアを…と思って。何か困ってることとか改善してほしいこととかあるかしら?』
「…お客様とは関係ないのですが
私たちの待機部屋が人数のわりには狭くて…
化粧道具や衣装も多いので少し困ってます。」
そりゃそうだよね。
私もこの部屋に通されてまず1番にそう思ったもん。
『そうね…もう少し各自のスペースが確保出来たらいいと私も思う。確かこの隣の準備室って全然使ってなかったよね?』
「少し荷物が置いてありますけど
ほぼ使ってないです。」
『そしたら壁をとっぱらってこの部屋と繋げちゃおうか。そしたら部屋の広さ倍になるし…新しいメイク台も置こうか。コスメと衣装もいくつか新しい物を用意するね。』
「そんな…いいんですか?」
『だってこのお店が経営できてるのはアナタたちのおかげだもの。アナタたちが気持ちよく働けて、頑張れるモチベになれば嬉しいよ。』
ここの嬢たちはよく頑張ってくれてる。
私は私の目線で彼女たちに寄り添いたい。
「さん…ありがとうございます。」
『ううん、これからもお店をよろしくね
何かあったら私を頼ってちょうだいね』
「…っはい!」
その後もいくつか彼女たちから意見を聞いて、はじめくんたちのいる部屋へと戻った。ちょうど話し合いが終わって次の店へと移動するところだったらしい。
『ではまた来ますね。』
「はい、いつでもお待ちしております。」
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「おし、次行くぞ」
『はーい』
それから3店舗を回って次は5店舗目。
今日は時間的にここがラストかなあ。
これ以上遅いとお店が混んできちゃうからね。
邪魔にならないうちに切り上げなくてはならない。