第6章 狂おしいほど愛してる②(梵天)
『カクちゃんカクちゃん〜っ
何で私が春くんの部屋いるの知ってたの?』
私が春くんの部屋にいるかどうか
確認することも無く私の名前を呼んで
そろそろ出るぞ、と声をかけに来たカクちゃん。
「三途がお前のこと引っ張ってくの見てたからな」
『なーるほどね』
「九井はもう車向かったからも行きな。もってく荷物はこれだけ?」
『あ、うん、そうだけど持ってくれるの?』
「そりゃ持ちますよお姫さま」
『へへ、優しいなカクちゃん〜』
レディーファーストというかなんというか
いつもお姫様みたいに扱ってくれるカクちゃん。
優しくてしっかり者で大好きなんだ。
お言葉に甘えて荷物を任せた私は
はじめくんの待つ車へと向かった。
「お、」
『はじめくんおまたせ〜
カクちゃんももうすぐくるよ!』
「その服俺があげたやつか?」
『うん!これお気に入りなんだあっ
それに今日は久しぶりにはじめくんとお仕事だからこれにしてみた!』
「そっか、すげえ似合ってるよ」
しばらくして乗り込んできたカクちゃんと私たちはお店へ向かった。
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車を降りる時は運転をしてくれている部下の子が手を貸してくれる。お礼をして じゃあ行ってくるね、と声をかけたところで呼び止められた。
「さん」
『ん?』
「その…今履かれてるヒールって…」
『あ!これこの前キミがくれたやつ!
どうかな?初めて履いてみたんだけど!』
「あ…えと、似合ってます…!!」
『履きやすいし可愛いしお気に入りになったよ!
ありがとうね、これからたくさん履く!』
「そんな…っ
特別高いものでもないですし…っ
その…良くしてくださってるのでお礼がしたくて。」
『私別にブランドとか興味無いんだよ?
そりゃ好みのものは欲しいな、と思うけど…
それにいつも運転ありがとって私の方が感謝してる!』
「おい!もう行くぞ」
『あ、カクちゃん、はじめくん!今行く!』
「あっ呼び止めてすみません!!」
『そんな!いつでも話しかけてよ!
えっと、芹沢くん!』
「え、俺の名前覚えてくれてるんですか…っ」
『もちろん!じゃあ行ってくるね』
「はい、行ってらっしゃいませ。
お戻りの時はご連絡お待ちしております。」
『うんっ』