第6章 狂おしいほど愛してる②(梵天)
自分の中で否定すればする程に
無視できない嫉妬心が悔しかった。
女に夢中になるなんてらしくねえんだよ…
「ダセぇこと言ってんのは分かってる…」
『全然ダサくないよ?私嬉しいよ。
今日の夜はたくさんお話しようね〜よしよし』
なのにお前はそう言ってくれるんだよな。
嬉しい、なんて男は勘違いするだろ。
「今日はさ、久しぶりに一緒に風呂入んね?」
最近は抱き合って眠るだけだったから。
久しぶりにたくさん求めたい。
『仕方ないなあ〜』
「お前の好きなバスソルト用意しとく。」
が俺の部屋に来るときいつも用意するバスソルト。俺が誰かのために、それも女のためにこんなことするなんて誰が予想できただろうか。
『え、ほんと!早く帰ってくるね!』
「あぁ」
仕事の時間までこの愛しい温もりを離したくなくてベッドサイドに立ったままのをベッドに引きずり込む。
『わっ、もう春くん〜』
そう言って笑いながら俺の頭を撫でて額にキスをくれた。それだけで満たされるんだから適わねぇよな。
「はー…早く夜になんねぇかな。」
『ほんとどうしたの春くん?
今日は甘えん坊さんなんだね〜』
「んー、そうだな。」
『たまには甘えん坊の春くんもいいね』
「ん。」
『今日のお仕事なーに?』
「スクラップ」
『そっかそっか〜
じゃあ帰ってきたらたくさん癒してあげないとね』
「…変なおっさんに絡まれんなよ。」
夜の店に来るジジイ共なんてクソばっか。
女好きの金しかねぇジジイ。
あんなクソにが触れられたらと思うだけで反吐が出るほどに気持ち悪い。
『カクちゃんとはじめくんいるし大丈夫だよ』
「まあ…それもそうだな。」
とくに九井はに惚れてるし
クソから遠ざけるだろうな。
あー…九井がのこと喰って帰ってきたらアイツどうしてやろうかな。
「まっすぐ帰ってこいよ?」
『帰ってくるよ?』
「九井に喰われんなよな」
『春くんのとこにまっすぐ帰るよ約束する』
「ん、待ってる。」
こんな口約束で今日1日が少し明るくなる。
こんな世界でたったひとつの俺の光。
こんな俺のたった1人の愛おしい女。