第1章 好きです先生 (松野千冬)
『わたし…わたし…っ
千冬くんのこと今までたくさん…
たくさん傷つけたよね…?』
「ほんとだよ…はは。
いつもいつも俺に相談してきて…
どんだけ苦しかったともってんだよ」
『ごめん…ごめんね…っ』
「なあ…泣かせたいわけじゃない…。
物心ついた時から…気づいたら好きになってた。ちゃんがワカくんの隣で幸せそうに笑ってたから…俺は…俺は片想いでもいいって思ってたのに…っ」
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side夢主
千冬くんの失恋相手が、片想いの相手が…私だなんて思いもしなかった。物心ついた時からって…?何年前…?10年前…?わかんない。全然気づかなかった。
それなのに私は、ワカくんを好きになった時も付き合った時も喧嘩した時も…振られてもまだ好きなことも…全部全部…千冬くんに聞いてもらって…。どんな思いで聞いてたの。どんだけ辛い思いをさせたんだろう。
片想いでもいいと思ってた―
今にも泣きそうに辛そうに苦しそうに紡がれた言葉が全てを教えてくれた。この人は本気で私のことを想ってくれているんだって。
千冬くんの本気の気持ちを聞いてドクンと胸が鳴った。ワカくんに振られた傷を埋めてくれるような千冬くんの真っ直ぐな言葉に心臓が鳴りやまない。
『千冬くん…ありがとう…。』
「ちゃん…俺本気だからさ…
年の差とか先生と生徒とか
そういうの無視して考えてくんねえかな…。」
『うん…考える。
ちゃんと考えるから時間ちょうだい。』
今すぐに答えていいものじゃない気がして
ちゃんと考えようと思った。
辛い思いをしてまでずっと傍にいてくれた千冬くんを
絶対に失いたくないから…。
…まっててね。