第1章 好きです先生 (松野千冬)
『千冬くん…。
傷つけられていいなんて言わないでよ。
千冬くんは千冬くんだよ。
ワカくんのかわりは…いないよ。』
「で…でもっ。
俺絶対ちゃんのこと泣かせたりしない。俺のもんに…俺の…彼女になってよ…ちゃん。」
ああ…だせぇな俺。
声くっそ震えてる…。
『だめ…だよ。私8コも年上だし…。
しかもっ!千冬くんの担任の先生だよ?』
「じゃあ…卒業したら付き合ってくれんの?
違うだろ…俺本気だよちゃん。
歳とか生徒とか関係ねえ…彼女になってよ。」
こうやって諦め悪いとこもガキだって思われてんだろうな。
『千冬くん…。』
俺の腕の中にいるちゃんが目線だけを動かして俺を見つめる。ああ綺麗だな…。濡れた大きな瞳が俺だけを映している。
「ちゃん…ごめん…っ」
『ふぇ…?』
気づいたら吸い込まれるように唇をかせねてた。俺のファーストキス。柔らかくてあったかくて離れたくない…。
「ちゃん…っ。ごめ…もっと…っ」
驚いて口を開けたちゃんの柔らかい唇の間から舌を滑りこませば甘い声が聞こえた。
『や…っちふ…ちふゆく…ンッ』
「ちゃん…ンン…はあっ」
『んはあ…はあっ…ばか…っ
私まだワカくんのこと…ンンっ』
「黙って…今だけでいいから…
俺だけ見てよ…。」
今だけでいいからなんて嘘だ。
ずっとずっとこの先ずっと俺だけ見てよ。
ワカくんのことなんて忘れちゃえ…。
『ま…まって千冬くん!
1回まって…っ!』
グッと俺の胸を押した小さな手にちゃんの唇を解放した。
「ごめ…ん。いきなりこんな…っ」
『千冬くんの…ばか。
キスなんて…どこで覚えたの?』
この期に及んで子供扱い…
大人の余裕ってやつですか…?
「ちゃんで覚えたよ」
『え…今初めて…だよ?』
「毎日毎日ちゃんとキスする時のこと考えてた。こうやって抱きしめんのも…その先だって俺は…ちゃんのこと考えながら…っ」
『千冬くん。』
俺の言葉をさえぎったちゃんの声。