第5章 王様ゲーム (東京卍會)
「…お前ほんと綺麗になったな」
テーブルを挟んで向かいに座っている万次郎くんが言う。
『な、なに急に!』
「は昔から綺麗だったろーが」
『隆くんまで何言い出すのっ』
「ちゃん照れてるんスか?
まーじかわいっすね」
私の隣にぴったりくっついて座る千冬くん。出会った頃から人懐っこくて可愛らしい子だった。圭介くんと出会うまでは相当荒れてたらしいけど。
「俺何回もちゃんと付き合ってんのかって聞かれてたんだぜ?その度にタカちゃんが否定してくんの!聞かれてんの俺なのに!」
『へー、初耳!どうしてだろう?』
「んー、多分俺が話す女の人ちゃんだけだったからかな。」
「ほんとにだけ懐きやがってよぉ」
『八戒くん可愛い…私だけなの?』
「今も昔もちゃんだけ、一途でしょ!」
へへん!って二カーっと笑う八戒くんが可愛すぎて母性本能くすぐられる。若干睨んでいる隆くんが視界に入るけど無視だ…怖いもん。気にせず擦り寄ってくる八戒くんの頭をなでると千冬くんも擦り寄ってくる。
「ちゃん!俺も!
俺も彼女作らず一途っすよ?」
きゅるるん、と効果音が付きそうなほど潤んだ目で私を見つめてくる千冬くん。たしかに千冬くんに彼女がいたなんて聞いた事ないな。千冬くんに限らず皆モテるはずなのに彼女…いなかったな。
『よしよし千冬くん〜っ
一途な男はモテるぞっ!』
「俺ちゃんじゃなきゃ意味ない
って何回も言ってますよね?」
『そ…うですね…?』
何度も何度も想いを伝えてくれる千冬くん。
でも私には好きとかよく分からないし
何年経っても変わらず好きだと言ってくれる千冬くんに対していい加減な返事なんて出来るわけなかった。
「まあ諦めないからいいっすけど。」
そう言って耳を縁取るように舌をそわされピクっと体が反応する。
『ん…っちふ、ゆくんっ』
「耳弱いのも昔から変わってないよね」
「ふはっ顔あっか!」
『うる…さい万次郎くんっ!』
ぷいっと顔を背けると反対側に座っていた八戒くんと目が合う。ヘラっと笑って私の顔をムニムニとしてくる。
「ちゃんぷにぷに〜」
『んんっ』