第4章 好きです先生②(松野千冬)
『よし、じゃあ作るから
テレビでも見て待っててね』
「うん、ありがとう」
勉強教えて貰って泊めさせてもらってご飯までご馳走になって、なんかできることねえかなーって思ってちゃんが料理をしているキッチンに行く。
「なんかできることある?」
『え、いいよ座ってて!』
「いや…でもしてもらってばっかで…」
『勉強頑張ったんだから甘やかされなさいっ』
「ん…ありがとう。」
こうやって言われるとやっぱり子供扱いされてるなーって嫌でも感じる。昨日の告白でもっと意識してくれてると思ってたけど全然ダメなんだな。唐突に思いを伝えてしまったのに気まずくならなくて良かった気持ち半分と、何も無かったかのように接せられる悲しさ半分。
言われた通りテレビを見ながら待っていると運ばれてきたロールキャベツ。ちょーいい匂い。なんか急にお腹すいてきた。2人で手を合わせて食べ始める。同棲してるみたいな感覚になってソワソワしているのはきっと俺だけ。
「ちょーうまい!
俺、毎日ちゃんのご飯たべたい」
『好きな時に食べに来たらいいよ』
「え?」
まさかそんな言葉がかえってくるとは思わなかった。
『えっと、いつでも来ていいよ?』
「え、ほんとに?」
『うん、ほんとにほんと』
ただご飯を食べに来ていいと言われただけ。
それだけの事。昔からの仲なんだから今更そんなことで驚いたり心臓バクバクしたりとか……っ。しちまうよ。やんわりとフラれたはずなのに10年以上片想いしてるこの気持ちを直ぐに諦めるとか出来なくて。先生と生徒とか関係なしに考えてよって言ったけど…ちゃんは今どんな気持ちで俺といるんだろう。ワカくんなんか忘れて俺をみてよ。
“ ちゃんと考えるから ”
そう言ってくれたちゃんの優しさにたとえそれが望む返事でなかったとしても俺はずっと諦められないんだろうなと思う。何度振られても何度でも想いを伝える。ほら…なんだっけ。1万回ダメでも1万1回目は何か変わるかもって歌詞の曲あったよな。俺もそう思うからぜってえ諦めねえ。