第4章 好きです先生②(松野千冬)
『少し休憩しようか?』
「あ、うん」
『甘い物食べよーっ』
そう言って紅茶とクッキーを出してくれた。
「ありがとうちゃん」
『あのね、勉強は糖分補給大切なんだよ!
糖分足りないと脳が働いてくれないんだよ〜』
いつも俺の知らない事を教えてくれる。
「なーなーちゃん」
『んー?』
「俺、勉強頑張ってるよね?」
『うん!頑張ってるよ偉い!』
「じゃあご褒美ほしい」
『ご褒美?
何か欲しいものあるの?』
俺が欲しいものは新しいゲームでも服でもなくて、ちゃん。2年間まともに会えてなくて…なのにこんなのって奇跡だろ?ちゃんが先生になってて、そんでたまたま俺の学校きて、んで俺のクラスの担任。少女漫画みてえじゃん。
「ううん、ものじゃない」
何が欲しいかはまだ言わない。
『うーん…わかった、じゃあさ
次のテストで点取れたらご褒美あげる』
「え、ほんと!何点取れたら!?」
『英語で80点!どう?
私の担当教科で80点取れたら!』
「は、80…すか?」
英語で80点とかとったことねえけど…。
『うん、乗る?』
「…っし。のった!!」
『よーし、じゃあ頑張ろう!』
ぜってえ取ってやる80点!
こうなりゃ猛勉強だ!!!
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「っっぐあ〜!つかれたああああ!」
『急に頑張りすぎるからだぞ〜』
「うー…、今日はもうしない…」
『あはは、電池きれた千冬くーんっ』
「つかれたあ…っ!」
慣れねえことを急にフルスロットルでやるもんじゃねえな…。くっそ頭いてえ…もう文字みたくねえ…。
『よーし、じゃあ買い物行こ!
ご飯の買い出しいこ!気分転換!』
「お、やった!行く行く!」
サッと髪を整えて靴を履いていると普段よりラフな私服を着たちゃんが お待たせーと言いながらやってきた。
ずっと見つめている俺の顔をのぞきこんで
『…ラフすぎ?引いた?』
って苦笑いするちゃん。
「いや、ううん!か…わいい!」
はっ!つい言ってしまった…っ!
『ふふ、千冬くんがそう言うなら…いっか!』
なんだよ…期待しちゃうだろ。
期待しても意味ないのに心臓がうるさいんだ。