第4章 好きです先生②(松野千冬)
少し甘くて優しい匂い。
俺の好きな匂い。
カーテンから注ぐ日差しが眩しい
…朝か。
知らない天井、知らない寝具、
知らない…いや、大好きな声。
…声?
『…くん、千冬くんっ?』
「は…え、ちゃん?」
『おはよう千冬くんっ』
「お、はよう」
そういえば昨日から泊まってたんだっけ。
母ちゃんのこと休ませてやるかーって
勉強も兼ねて泊まらせてもらったんだ。
『眠れた?』
「うん、何回か蹴られたけど…」
『う…ごめん千冬くん…』
夜中に数回腹の上目掛けてちゃんの脚が落ちてきた。その度に目を覚ましたけど、そんなんもう慣れっこ。久々やられたなーくらい。
「いやもう慣れてるし全然平気」
『ほんとごめん千冬くん…っ
今日の夜ご飯は千冬くんの好きなものにするっ』
「まじ!よっしゃあ!」
ちゃんの作るご飯すげえ好きだから嬉しいな。何にしようかな。ロールキャベツとか食べたいなあ。前に作ってくれたけどすんげえ美味かった気がする。
『夕方一緒に買い物行こう!
それまでに何食べたいか決めておいてね』
「うん、わかった!」
それまでは勉強をするってことになって、俺は昨日やっていた続きを開く。勉強なんて全然好きじゃないしむしろ嫌いだけどちゃんが教えてくれるんなら話は別。無条件で頑張れる。
プルルルルルルル
『千冬くんじゃない?』
「ほんとだ、ごめん出るね」
電話に出ると聞こえてくる聞きなれた声
「っうっせえな!声でけんだよ!
どーした相棒?俺今忙しんだけど!」
〈昨日からお前変だぞ?
勉強するとか言って帰るしよ!〉
「今も勉強してんだぜー?」
〈はあ!?何があったんだよ!
色々聞きたくて電話かけたんだけど??〉
「あー、まじ大事件だたけみっち。
会って話したいからまた月曜な!」
〈へーへー分かりましたよ〜
んじゃあな、勉強がんばれよお〜〉
「うーす、じゃあなー」
『クラスの子?』
「そう、たけみっち!俺の相棒!」
そっかあ、って話を聞いてくれるから沢山話しちまう。
『金髪コンビだねえ』
言われてみれば確かに、思うけど
俺の髪型あんなダサくねーし
って思ったのは内緒