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ヴォード家に嫁ぎました!【ブラッククローバー / R18】

第7章 涙の行方※





ランギルスさんはその細い指で、頰に伝う涙を拭った。そのまま顎を掴み、そっと触れるだけのキスをした。


「……相変わらず仕方がない人ですね」


ランギルスさんはそう言って、わたしの手を取り立ち上がる。空間を作り、その中に誘導した。


気持ちが伝えられなくてもいい。最初から形だけの許嫁だったのだから、愛されるわけがなかった。それでもわたしを好きになってくれたフィンラルさんではなく、ランギルスさんのそばにいたいのだ。ただ愛のない行為は悲しいだけ。もうこれ以上流されるのはやめようと思った。


ランギルスさんの空間に入ると、そこはクローバー王国の王都の中でも最高級のホテルだった。ハネムーンステイでも有名なホテルだ。客室はデラックススイート。


「……わたしランギルスさんと、もうこういうことはしませんから」


そう言ってランギルスさんから距離を取るわたしを見て、ランギルスさんは呆れた顔でため息をついた。


「ホテル内のレストランに行きましょうか」


そう言われ、身構えていた自分が恥ずかしくなり顔が熱くなる。わたしを置いて客室のドアを開けようとするランギルスさんの後ろ姿を追いかける。後ろから手を握った。


「…あの、ごめ…なさい。ランギルスさんがそういうつもりじゃないのに、傷つけてしまって。」


「別に気にしてませんよ。今までの僕はミライさんに勘違いされるようなことしてましたから」


そう言ってわたしの手を引き、ホテル内のレストランへ向かい食事を取る。新鮮な魚介類を使った料理で全てがおいしくて、お酒も進み、気まずい雰囲気もいつの間にかなくなっていた。自然と今まで通りランギルスさんと会話ができていた。


食後にはロビーラウンジの奥にあるクリュッグバーへ行き、カウンターでクリュッグのシャンパンを飲む。ランギルスさんはお酒がとても強かった。わたしは緊張からか少し酔ってしまっていた。


「あの…ランギルスさん?今日は連れてきてくれてありがとうございました…うれしかったです」


「飲んだら泊まらずに帰りましょうか?僕と泊まるのが嫌なようなので」


ランギルスさんの方を見ると、カウンターに頬杖をつき切なげな顔をしていた。


「…帰りたくないです」


酔っているからかつい本音が溢れてしまう。いっしょにいたい。でも、傷つきたくない。



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